犬の寄生虫予防と駆除は人の動物由来感染症を防ぐ一石となりうる
「うちの子寄生虫予防しなきゃ」と耳にした時、“寄生虫”で思い浮かべる虫は何ですか?
ノミ、マダニ、フィラリアを強くイメージしがちでもありますが、寄生虫はこれだけに限りません。シラミ、ニキビダニ(毛包虫:アカラス)、ミミヒゼンダニもいます。
でも、まだまだいます。これらは犬の体表、体の外側に寄生する虫ですから、体の内部に目を向けるともっと沢山の寄生虫を挙げることができます。ご存知の通りフィラリアは犬糸状虫ともいい、犬の肺動脈や心臓(右心室)に寄生する線虫です。
犬糸状虫の寄生部位は心臓と肺動脈ですが、同じ線虫の仲間の中には犬の消化管・腸管に寄生する線虫がいます。犬回虫、犬鉤虫、犬鞭虫などですが、これもまたよく耳にしますよね。
ちなみにですが、サバ、ホッケ、タラ、イカといった魚介類を生で食べて胃が痛くなるアニサキスも線虫です。これは終宿主が海獣(クジラ、イルカ、アザラシ、オットセイ)で、糞と共に海の中に放たれた卵がオキアミに食べられ、そのオキアミを魚介類(中間宿主)が食べる。
その中間宿主を終宿主が捕食することでアニサキスに感染・寄生される、といったサイクルが完成します。人はこのサイクルの中に組み込まれていないため、胃痛を起こしたとしても数週間でアニサキスは死に、自然に排泄されます。
激しい胃痛や嘔吐、蕁麻疹、アレルギー症状が見られることもあれば、軽症もしくは無症状のまま経過する人もいるとのことですから、アニサキスに寄生されたからといって必ずしも胃が痛くなるとは限らないのです。
参考:アニサキス症とは 国立感染症研究所
〜胃の寄生虫、『アニサキス』について〜 同友会グループ
脱線したので本題に戻ります。
腸管内に寄生するのは線虫類だけではありません。条虫類、吸虫類、原虫類も控えています。先述した線虫類でさえほんの一例にすぎないので、犬に寄生して悪さをする条虫類、吸虫類、原虫類も挙げればきりがないほど存在します。
条虫感染
原虫感染
上に載せたページに瓜実条虫、多包条虫、ジアルジア原虫の感染寄生による病害を書いています。お読みになると理解が深まるかと思いますが、犬が病原微生物に感染すると実害が出てくるのはもちろん、人も犬から寄生虫をうつされ感染してしまいます。
自分の体の中に虫がいることなんてつゆ知らず、無症状で過ごせればそれに越したことはないのですが、どの寄生虫が体のどの部位にどれくらいの数寄生していて、虫に対する自分の防御反応がどれくらい機能するかによって病害の程度が違ってきますからね。
人への動物由来の感染症を防ぐために、また、犬に健康かつ元気でいてもらうためにも寄生虫の駆除と予防に努めましょう。症状が現れてからだと遅い場合もありますから。
外 用 薬 |
内 服 薬 | ||
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スポットタイプ |
錠 剤 チュアブルタイプ |
ペースト状 |
液 剤 |
アドボケート | インターセプター | パナクール オーラルペースト | キウォフプラスパピー |
ストロングホールド | ウォレックス | ― | パラゾール |
プリノケート | キウォフプラス | ― | プロコックス |
レボリューション | コンフォティスプラス | ― | ワームシロップ |
― | センチネルスペクトラム | ― | ― |
― | ドロンシット | ― | ― |
― | ドロンタール | ― | ― |
― | ネクスガードスペクトラ | ― | ― |
― | パナクール | ― | ― |
― | フラジール | ― | ― |
― | メトロジール | ― | ― |
― | メトロニダゾール | ― | ― |