レボリューションとシンパリカを足したようなマルチな駆虫薬
猫用のフィラリア薬がまた一つ増えました。いや、むしろノミダニ薬、耳ダニの薬といえばよいのかもしれませんね。その名も『レボリューションプラス』。ゾエティスオリジナルの製品レボリューションに何かがプラスされたので、そのままレボリューションプラスです。
何がプラスされたのか? レボリューションプラスに限らずですが、もともとの製品名に“プラス”と付くと新たに別な成分が配合されたものがほとんどです。例えば、コンフォティスプラス。ノミダニ薬で例を挙げるとフィプロフォートプラス、フロントラインプラスですね。
コンフォティスプラスはコンフォティス(成分:スピノサド)にミルベマイシンが加わることでノミとマダニ+フィラリアの駆虫が可能に、フロントラインプラスはフロントライン(成分:フィプロニル)にS-メトプレンが追加されたことでノミとマダニ+ノミの虫卵と幼虫の発育阻害が可能になりました。後発品のフィプロフォートプラスも同じくです。
『コンフォティス』 = スピノサド(ノミ・マダニ駆除)
『コンフォティスプラス』 = スピノサド +ミルベマイシン(線虫類駆除)
= 『コンフォティス』 + ミルベマイシン
『フロントライン』 = フィプロニル(ノミ・マダニ駆除)
『フロントラインプラス』 = フィプロニル +S-メトプレン(ノミの卵・幼虫駆除)
= 『フロントライン』 + S-メトプレン
レボリューションプラスの場合は、セラメクチンにサロラネルが配合されています。
サロラネルを成分とする薬というと、ノミダニ薬のシンパリカですよね。レボリューションプラスはレボリューションとシンパリカを足したような薬です。レボリューションもシンパリカもどちらもゾエティス(Zoetis)の動物用医薬品ですから。
『レボリューション』 = セラメクチン(ノミ・卵・幼虫、耳ダニ、線虫類駆除)
『シンパリカ』 = サロラネル(ノミ・マダニ駆除)
『レボリューションプラス』 = セラメクチン + サロラネル
= 『レボリューション』 + 『シンパリカ』
レボリューションプラスは猫用、シンパリカは犬用だけしかありません。
しかし、セラメクチンは犬猫用のレボリューションやストロングホールドの主成分として、サロラネルはシンパリカの主成分として使われていますから、どちらの成分も犬と猫の両方に効果的といえますよね。
そのうち犬用のレボリューションプラスがお目見えするのではないかと考えています。
さて、肝心のストロングホールドプラスの効きですが、下の表をご覧いただくと話が早いかと思います。レボリューションやストロングホールドに欠けていたマダニの駆除ができるようになりました。
耳ダニ(耳疥癬)とマダニをこれ1本でまとめて駆虫できるって、ホントすごい。
フィラリア薬 | 内部寄生虫 | 外部寄生虫 |
※ |
|||
---|---|---|---|---|---|---|
線虫類 | 条虫類 |
ノミ成虫 |
マダニ | 耳ダニ | ||
ストロングホールド | ● | × | ●+● | × | ● | ― |
ストロングホールドプラス | ● | × | ●+● | ● | ● | シラミ |
レボリューション | ● | × | ●+● | × | ● | ― |
これで条虫類に効果的なプラジクアンテルが加われば、ブロードラインに並ぶ駆虫薬になるのではないでしょうか。猫が条虫に感染する機会って思いの外多いですからね。
それでも、マダニ対策が可能になっただけでも十分にも思えますよね。これまでは猫用でフィラリア(犬糸状虫)+マダニの駆除薬がブロードライン以外にありませんでしたので。
ストロングホールドプラスは体重が2.5kgに満たない猫にも使えますが、1.3kg未満もしくは生後2か月齢未満の猫には投薬してはいけません。また、ストロングホールドプラスと併用して他のフィラリア薬やノミダニ薬を使うのはNGです。