ついに出た!インターセプターのジェネリック薬「ミルプラゾン」
ミルプラゾンって薬、ご存知ですか? 知る人ぞ知る動物用医薬品かもしれません。
ミルプラゾンは条虫類の駆除もできる犬と猫のフィラリア薬で、インターセプターのジェネリック(後発品)ともいえますよね。クルカ(Krka)という会社が出しています。
フィラリア薬の中で条虫類の駆虫もできる薬は、今でこそセンチネルスペクトラムやブロードライン、ミルプラゾンと種類が少し増えましたが、それまでは数あるフィラリア予防薬の中で唯一インターセプターだけが条虫を駆除できる薬だったのです。
その条虫駆除薬の代表格であるインターセプターはノバルティスの製品ですが、ミルベマイシンA錠やセンチネルスペクトラムもノバルティスの薬なのですよ。これら3者は同じフィラリア薬でありながら、それぞれに特長があります。下の表をご覧ください。
フィラリア薬 | 内部寄生虫 | 外部寄生虫 |
※ |
|||
---|---|---|---|---|---|---|
線虫類 | 条虫類 |
ノミ成虫 |
マダニ | 耳ダニ | ||
インターセプター | ● | ● | × | × | × | ― |
センチネルスペクトラム | ● | ● | ×+● | × | × | ― |
ミルベマイシンA錠 | ● | × | × | × | × | ― |
インターセプター、センチネルスペクトラム、ミルベマイシンAは駆虫対象となる寄生虫に差異がありますよね。ミルベマイシンは線虫類(フィラリア;犬糸条虫 etc)、インターセプターは線虫類と条虫類、センチネルスペクトラムは線虫類と条虫類、ノミの虫卵と幼虫の発育阻害が可能となっています。ノミの成虫ではありません。ノミの虫卵と幼虫です。
ミルプラゾンはインターセプターのジェネリックなので、寄生虫に対する効きも同じです。「線虫類」「条虫類」とひとまとめにした表記にしてますが、それぞれに何種類も虫が存在しますので、販売元が提示している寄生虫名を下に載せてみますね。
フィラリア薬 | 内部寄生虫 | 外部寄生虫 |
※ |
|||
---|---|---|---|---|---|---|
線虫類 | 条虫類 |
ノミ成虫 |
マダニ | 耳ダニ | ||
インターセプター | ● | ● | × | × | × | ― |
ミルプラゾン | ● | ● | × | × | × | ― |
線虫類
犬糸状虫(フィラリア)、回虫、鉤虫、犬鞭虫
条虫類
瓜実条虫(サナダムシ)、マンソン裂頭条虫、メソセストイデス属条虫、多包条虫(エキノコッカス)
成分として使われているプラジクアンテルは吸虫と条虫を、ミルベマイシンオキシムは線虫類を駆除します。何故だかわかりませんが、プラジクアンテルを成分とする犬と猫の駆虫薬には吸虫類の表記がありません。吸虫類の中にも犬や猫に寄生して悪さする虫が多数いるのですけどね。
でもまあ、全てを記載するとズラズラと長くなりますから、重視すべき虫だけの表記として省略しているのかもしれません。犬と猫に寄生する蠕虫類(ぜんちゅうるい:吸虫、線虫、条虫)の駆除と予防は人への感染予防にもつながりますので、しっかり対策しましょう。
もしミルプラゾンやインターセプターに物足りなさを感じてしまうようでしたら、その思いは払拭してください。犬と猫のフィラリア薬でプラジクアンテルが配合されている医薬品は、とても希少で貴重だと私は思います。条虫類の駆虫は“強み”です。
ミルプラゾンはインターセプターの後発品と先述しましたが、その販売価格はインターセプターの約4分の3(3/4)です。ジェネリックなだけに低価格ですよね。思わず安い方に飛びついてしまいそうですが、飲ませる子の体重によっては割高になってしまうのです。
表の金額は、インターセプター小型犬用(4kg以上〜11kg未満)とミルプラゾン5kg以上の犬用の販売価格を、それぞれ 1箱の中に入っている錠剤の数で割って出した 1個当たりの数字です。
先発医薬品(ブランド品) | 後発医薬品(ジェネリック) | 成 分 |
---|---|---|
インターセプター 1,196円 | ミルプラゾン 870円 |
ミルベマイシン |
ミルプラゾンは犬の体重が25sを超えると飲ませる錠剤の数が増えます。
下の表を見ると、ミルプラゾンは25s〜50sの犬だと2錠飲ませる必要があります。ミルプラゾン5s以上用の犬用が1錠あたり870円ですから、870円×2=1,740円となります。
一方、インターセプターだと犬の体重が22sを超えると大型犬用(22s〜45s)を選択することになります。1個当たり1,496円なので当然こちらを選ぶ方がいいことがわかりますよね。どちらにせよ飲ませる子の動物種と体重に合ったものを使ってください。
犬 | 猫 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
小型犬 & 子犬用 | 5kg以上の犬用 | 小型の猫 & 子猫用 | 2kg以上の猫用 | ||||
2週齢未満は× |
2週齢未満は× |
6週齢未満は× |
6週齢未満は× |
||||
0.5〜1kg | 1/2錠 | 5〜25kg | 1錠 | 0.5〜1kg | 1/2錠 | 2〜4kg | 1/2錠 |
1〜5kg | 1錠 | 25〜50kg | 2錠 | 1〜2kg | 1錠 | 4〜8kg | 1錠 |
5〜10kg | 2錠 | 50〜75kg | 3錠 | ― | ― | 8〜12kg | 1+1/2錠 |
ところで、同じ成分を使っているのにインターセプターは犬用だけ、一方ミルプラゾンは犬と猫の両方で使えます。インターセプターに猫用がないのはなぜでしょう?
実は猫用もあるんです。ミルベマックスという名前で販売されています。
ミルベマックスはインターセプターと同じノバルティスの製品なので、ジェネリックではありません。なのでミルプラゾンよりもお高めです。錠剤の数は同じなのですけどね。
「ミルプラゾンを使ってみよう!」とお考えの場合、注意点がございます。
先ずは投薬前のフィラリア検査です。動物病院で採血してもらい血液検査を受けてくださいね。また、下の枠内に書いてあることを念頭に置いた上でミルプラゾンをお使いください。
マクロライド系化合物(主に抗生物質として用いられる一群の薬物の総称)、他の犬糸状虫予防薬、並びに犬回虫、犬鞭虫、犬鉤虫、瓜実条虫及び多包条虫の駆除薬剤と本剤の併用については安全性が確認されていないことから併用しない。