これで何個目? 枚挙に暇がないフロントラインプラスの後発品
フィプリストコンボはフロントラインプラスと成分を同じとする後発品です。
表をご覧いただくと一目瞭然ですが、数が多いですよね。この「フィプリストコンボ」と「アムフリーコンボ」はクルカという製薬会社が販売しています。アムフリーコンボはもう既に取扱い終了となっていますので、実際はフィプリストコンボだけの販売となってます。
成 分 | 先 発 品 | 後 発 品 | 犬 用 | 猫 用 |
---|---|---|---|---|
フィプロニル
(S) - メトプレン |
|
フィプリストコンボ |
〇 |
〇 |
ある時期、アムフリーコンボの外箱のイラスト全てがフィプリストコンボと同じだった時がありました。下の商品画像でご説明しますと、パピヨンがヨークシャーテリアに、イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルがボーダーコリーに、シェパードがダルメシアンに、イングリッシュ・マスチフがグレートデンに、長毛の猫が短毛の猫だったのです。
ですので、ただ商品名を変更しただけの同一品だといえるでしょう。各サイズの適応体重、成分含有量、一箱当たりの本数、容量も全く同じですからね。アムフリーコンボの外箱にはノミの卵が載っていませんが、フィプリストコンボにはノミの幼虫と並んで載っています。
小型犬用 | 中型犬用 | 大型犬用 | 超大型犬用 | 猫用 |
---|---|---|---|---|
2〜10kg |
10〜20kg |
20〜40kg |
40kg〜 |
8週齢〜 |
フィプリストコンボはフロントラインプラスの後発品ですから、使われている成分は同じです。同一成分なので、ノミやマダニなど外部寄生虫に対する効果ももちろん同じです。これらの成分はフロントラインプラスを開発したメリアル社オリジナルなんですよ。
● ノミの成虫 : 24時間以内に駆除
● マダニ 、シラミ、ハジラミ : 48時間以内に駆除
有効成分への接触で駆除されます。駆除率はほぼ100%で、1か月効果が持続します。
強い殺虫・殺ダニ作用がありますが、人や犬、猫に対する安全性が高いといわれるのは、作用する受容体(神経系に存在)が哺乳類には存在しないからです。
月一の使用でも寄生虫が薬剤に対する抵抗性を獲得する確率が低いとされるのは、フィプロニルが作用する受容体が3つあるからなんです。
● ノミの卵 : ふ化、成長阻害
● ノミの幼虫 : サナギへの変態阻害
(S)-メトプレンは皮膚から吸収されないので長期にわたり被毛中に残留します。
犬や猫に寄生していたノミが体表上に産み落とした卵に(S)-メトプレンが浸透することで、そのノミの卵の成長が阻害されふ化しなくなるのです。また、(S)-メトプレンは感作を受けたノミの♀の卵巣内で濃縮するので、これによって卵がふ化しないのです。
メリアルは1997年に設立された動物用医薬品などを製造する米国の企業です。
フィプロニルを主成分とする「FRONTLINE」は商標登録されたもので、ノミダニ駆除剤としては世界でトップのシェアを誇っているのです。
フロントライン スポットオンは1998年に、フロントラインプラスは2003年に発売された歴史の古いノミダニ薬ですから、販売されてからもう既に10年は経過しているので独占販売可能な時期は過ぎてしまっています。なので後発品が続々と登場しているのですね。
消費者側からすると薬が安価で購入できることはありがたいことこの上ありませんが、巨額を費やして医薬品を開発しているメーカー側からすると、後発品であるジェネリックの存在は歯がゆいものであるに違いないことは想像に難くありません。
しかしながら、やはり薬の品質において信頼できるのは先発薬であることは間違いないでしょう。後発医薬品の中には不純物の混入や無菌状態が保たれていない環境下で製造されている薬もあったりしますから、ジェネリックを選ぶ場合は国籍や企業名を確認するなど情報収集をされた方がいいかもしれません。
この流れでフィプリストコンボの製薬メーカーについて書くと誤解を招く恐れがあるかもしれませんが、クルカは記載内容と全く関係ありませんので混乱されぬようお願いします。
クルカ(Krka)はスロベニアの後発医薬品メーカーです。
製薬ではスロベニア国内最大手で、ノバルティスグループの傘下にある企業なんです。
スロベニアっていっても、どこにあるのかいまいちピンと来ないかもしれませんね。イタリア、オーストリア、クロアチア、ハンガリーに囲まれた、面積が四国とほぼ同じくらいの中欧の小さな国なのです。
クルカはフィプリストコンボ以外にも、「ミルプラゾン」という名のインターセプターのジェネリックを出しています。インターセプターはノバルティス社(動物薬事業の買収で現在はエランコ)の製品ですが、クルカが同社の傘下に入った時期ととミルプラゾンを発売した時期どちらが先なのかはわかりません。
クルカ(Krka)社 | フィプリストコンボ | ミルプラゾン |
---|---|---|
分 類 | ノミ・マダニ駆除薬 |
フィラリア予防薬 |
先 発 品 |
フロントラインプラス |
インターセプター |
成 分 |
フィプロニル |
プラジクアンテル |
対象となる寄生虫 |
フィプロニル
(S) - メトプレン |
プラジクアンテル
ミルベマイシンオキシム |
犬 用 | あり | あり |
猫 用 | あり + フェレット | あり |
クルカ社のフィプリストコンボ、フロントラインプラスと効果効能、使用方法が同じなので気軽に使えるノミダニ薬ですが、やはり薬です。もしあなたの愛犬や愛猫が他の薬を併用している、健康状態が良くない場合は安易な使用はお控えくださいね。
犬猫ともに生後8週齢以上から使用できます。妊娠中や授乳中にある母犬や母猫への使用も安全性が確認されていますが、ご心配な時は動物病院で獣医師とご相談ください。
参考:フロントラインプラス 技術資料、「From India With Lies」 NewsWeek
商標審決データベース、「スロベニア経済情勢 2016年11月」