β遮断薬は心筋の収縮力を低下させることで心筋の酸素需要を軽減する
心臓にある洞結節(どうけっせつ)は、心臓を規則正しく収縮させ、心拍数をコントロールしています。洞結節では、外部からの刺激を「β受容体」で受け取ります。
このβ受容体にノルアドレナリンが結合すると、カルシウムを吸収し始めます。カルシウムを吸収後、洞結節から電流が流れることで、心筋が興奮して収縮するのです。
心臓病が悪化してくると、普通に動いているだけでも動悸・息切れが起き、大きな負担となってくるのです。そこでβ遮断薬を使います。β遮断薬はβ受容体を遮断して洞結節からの電流を抑えます。そうすると、心筋の収縮を抑えて心臓への負担を軽減できるので、心臓をより長持ちさせることができます。
その他の心臓の異常のひとつに不整脈があります。心筋が収縮するためのスイッチである洞結節に異常が起きると、電気が流れなくなったり、他の部分に電流が流れて心筋が不規則に収縮してしまい、不整脈が発生してしまいます。
ここでβ遮断薬を使います。β受容体を遮断して、心筋を洞結節の異常から切り離すことで心筋を守ります。こうすることで不整脈を抑え、急激に心臓に負荷がかかるのを防いでいきます。
ただ、β遮断薬を使うと心臓から出される血液量・心拍数が少なくなり、全身の血の巡りが悪くなることも考えられるため、重度の僧帽弁閉鎖不全症(僧帽弁逆流症)の犬にβ遮断薬は不適応とされています。この場合はピモベンダン製剤であるベトメディンが使われます。