犬の心臓病の治療に利尿薬が使われるのはどうして?
尿は腎臓で血液から老廃物を取り除いて作られ、体外に排出されます。利尿剤とは、尿を増やして水分をより多く排出できるよう腎臓に働きかける薬で、短期間で効果が出やすいと言われています。
心臓病で利尿剤を用いるのは、尿量を増やして水分を体外へ出し、循環血液量を減らすためです。心臓が身体中に送り出す血液量を少なくできるので、心臓への負担を軽くすることができます。
心臓病が進行して全身に血液を送り出せなくなると、心臓に血液がたまります。心臓近くの肺血管にも血液がたまり、肺にまで液体がしみ出していくと、肺水腫になります。溺れて肺に水が入ってしまったような状態となり、呼吸困難で命を落とす危険性も出てきます。
ここで利尿剤を使うと、尿の量を増やして体内水分を減らせます。肺の水分も血管に吸収されていき、肺に水がたまるのを予防したり、治療することができるのです。
ただ、利尿剤を使って体内水分を減らすということは、脱水を起こす可能性があります。経過をよく観察しながら、注意深く使用する必要があります。また、利尿剤は腎臓に直接働きかけるので、腎臓に疾患がある場合には特に注意が必要です。
体調が一時的に良くなると、薬を休みたくなるときもあるかもしれません。少し良くなったとはいえ、愛犬の心臓では症状が少しずつ進行しているかもしれませんので、薬を飲ませ続けることが大切です。