猫 耳 膨れ

猫の耳血腫とは?耳血腫の原因・症状・対策

 

 

耳血腫(じけっしゅ)ってどんな病気?

 

柔道、レスリング、ラグビーといったスポーツ選手の耳を見たことがありますか?

 

 

耳が膨れたり腫れたりしてカリフラワー状になっている人がいますよね。餃子耳、柔道耳、カリフラワー耳といろんな呼び方がありますが、正しくは耳介血腫です。激しい練習などで耳が擦れる・潰れる・圧迫する・打撲することによって耳介の皮膚と軟骨の間に血液が溜まり腫れてしまったスポーツ外傷なのです。

 

 

耳介の中で内出血してしまったんですね。

 

 

腫れてすぐに血を抜くなどすればいいのですが、そのままにしていると血腫が硬くなってきます。一度治まったとしても、圧迫や摩擦による刺激が耳に何度も繰り返されることで耳介血腫も起こるので、組織が線維化して耳介がボコボコと瘤(こぶ)状に硬くなって耳の変形が起こります。

 

 

 

猫 耳 ぶよぶよ    猫 耳血腫 画像

画像引用元:ファミリー動物病院診療日誌

 

 

 

猫の耳血腫も同じで、耳に何らかの刺激が加わったことで耳介内で出血が起こり、耳が全体的に膨れあがってしまったのです。耳介は皮膚と軟骨により形成されていて、皮下や軟骨膜の血管が走っています。

 

 

しかし、皮膚と耳介軟骨との癒着が弱いため、内出血が起こるとその癒着が剥れてしまいますから、皮膚と軟骨との間に血液が大量に溜まりやすく、その結果として耳介全体が膨れあがるのです。

 

 

 

耳血腫はどうして起こるの?

 

が耳血腫となる原因の大半外耳炎です。外耳炎をこじらせたりすると、猫は耳を非常に痒がりますよね。掻く、頭を振る、後ろ足で引っ掻くなど、耳が壊れんばかりに掻きむしってしまいます。

 

 

他にも、耳の中に何か異物が入ってしまった、ノミやダニが寄生しているなど、耳の中に不快感を覚えることで猫が自ら耳に物理的な刺激を与えた結果、耳血腫をつくってしまいます。

 

 

 

他者からの物理的刺激としては、猫同士の喧嘩、飼い主さんの耳掃除(頻回or不得手or不注意)、打撲などによる耳介の外傷があり、病気が原因の場合は血小板減少症が挙げられます。

 

 

怪我をすると出血しますが、自然と止まります。これは血小板の凝固作用によるものですが、血小板が少ないと怪我をした時に出血がなかなか止まりません。猫が血小板減少症だと、耳介内で出血が起きたときに止血がおいつかず耳が内出血で膨れ上がり耳血腫になってしまいます。

 

 

 

猫 耳介 内出血

 

 

 

耳血腫になった猫の症状やしぐさは?

 

耳介がぷっくりと腫れているのが見てわかります。上の写真のように猫の耳がパツンパツンに膨れ上がっていれば一目瞭然ですね。耳血腫を起こした方の耳が内出血の重みで垂れ(下がっ)ていることもあります。

 

 

腫れた耳介に触れると少し熱感があります。また、ぷにぷにぶよぶよした感じで中に液体が貯留しているのがわかります。どこかへぶつけるなどして内出血すると腫れて痛いですよね。熱を帯びた患部はボワっと膨れ上がり、内側からの圧力で皮膚にツッパリ感がある。そのようなイメージです。

 

 

猫の薄い耳が内側からの出血で腫れて重量感を増してくると、猫はその違和感や不快感から、しきりに手や後ろ足で耳を引っ掻いたり頭を激しく振ったりするしぐさを見せます。そんな様子の猫をよく見てみようと、人が触ろうとすると嫌がったり怒ったりします。

 

 

重度の外耳炎を併発している場合は痛みを伴うため、猫はより触られるのを嫌がるようになってしまいます。耳血腫は耳の腫れが急に起こることが多いため、波動感のある膨れが耳介にあれば耳血腫の診断は簡単です。

 

 

 

耳血腫を発見した時はどう対応するの?

 

猫が耳血腫を起こしているのを見つけたら、少しでも早く動物病院へ行き治療してもらいましょう。

 

乱暴な表現のようですが、血抜きをしてもらわなければなりません。
「内出血だからそのうち腫れも引いてくるでしょ」と楽観視していると、次第に猫の耳が変形してきます。

 

 

冒頭に書いたスポーツ選手の耳介血腫の話になりますが、軽度の場合は患部を冷やします。

 

 

基本的には注射針で溜まった血液を何度も抜きます

 

もし血液凝固を起こして血を抜くことが出来ない場合は、皮膚を切って血液を抜きます。血腫を繰り返したり、そのまま放置していたがために血腫が硬くなり、耳介が大きくボコボコに変形し、いわゆる柔道耳になってしまうのですが、猫の耳血腫もやはり同じです。

 

 

耳介内に溜まった血を抜かないと、時間が経つにつれ耳介軟骨の変形が起こり、耳が折れる・シワシワになる・縮む・といった本来の猫の耳の形とは異なるいびつな形になってしまいます。

 

 

外科的治療は耳血腫の程度にもよりますが、腫れている箇所に針を刺して注射器で耳介内に溜まった血を抜く方法と、腫れている箇所を切開して血溜まりを除去し、再度耳介内に血液が溜まらないよう圧迫縫合する方法があります。

 

 

外耳炎を伴う症状の場合は、耳血腫を引き起こす原因となっている耳の痒みを緩和する治療も行う必要があります。猫の耳血腫は早めの対応と予防が大事です。耳介内で出血し、それが直ぐ治るなら結果オーライですが、耳が腫れて膨らんで、猫が辛そうなそぶりやしぐさを見せるまでになると可哀そうですからね。

 

 

耳血腫を予防するなら、根本的な原因を治すことを優先すべきです。

 

 

外耳炎が原因であることが多いのですから、日頃からのこまめな耳の観察が大切です。

 

耳垢の量や色、耳の臭い、耳介の腫れなど異常をチェックし、また、猫がしきりに耳を痒がっていないか、頭をよく振っていないかなど、耳を気にするような行動をしていないか気を付けてあげましょう。

 

 

 

猫 餃子耳 原因

 

 

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