猫の耳に感染するミミヒゼンダニ(耳ダニ)
「猫の耳の入口近くに黒いゴミだか耳垢だかが、やたら付いている」
「黒っぽい耳垢で耳の中が埋め尽くされている」
「耳の中の毛をかき分けてみたらビックリするほど耳垢が溜まっていた」
飼い猫や世話をしている猫が耳ダニに感染すると、このような経験をされるかと思います。
耳ダニは動物の耳の中(外耳道)に寄生するダニの一種です。耳ダニや耳疥癬(みみかいせん)とも呼ばれていますが、正しくはミミヒゼンダニです。耳の中を埋め尽くさんばかりに占領している耳垢は、実は耳ダニの糞やら卵やら死骸やらの塊なので、この耳垢がどこかに落ちれば感染源として他の動物にうつったり、同じ猫に再寄生(再感染)してしまいます。
耳ダニは非常に強い感染力を持っています。
猫を複数飼っている場合、1匹の猫に耳ダニが見つかれば、他のすべての猫も耳ダニに感染している可能性が高いといえます。耳ダニを持っている猫との接触や、耳ダニの卵が紛れた耳垢の付着によって耳ダニが感染してしまうんですね。特に子猫は耳ダニに感染しやすく、生後2〜3カ月の猫に最も寄生しやすいといわれています。母猫が耳ダニを持っていると、母子感染してしまうのです。
耳ダニに寄生されると特徴的な耳垢が見られます。
耳ダニが耳の中で殖えれば殖えるほど耳垢も多くなってくるので耳垢も大量となり、耳垢の正体は耳ダニの糞や死骸ですから、カサカサして黒っぽいワックスのような耳垢なります。機会があれば、この耳垢を採取して虫めがねや顕微鏡で観察してみてださい。ミミヒゼンダニが実際に動いているのが見えて気持ち悪くなりますよ。
耳ダニが卵の状態から成ダニになるまで3ヶ月程度かかるので、耳ダニを耳垢の中から発見できないからといって、猫が耳ダニに感染していないとは言い切れません。人にもうつり(感染して)痒くなるかもしれませんから。感染すると激しいかゆみに襲われる為、猫は耳をかきむしったり、頭を振ったり傾けたりすることが多くなります。
外耳道に寄生した耳ダニは、外耳道から分泌される分泌液や耳のほか、リンパ液や血液を吸って糧としています。耳ダニの感染で激しい痒みが出てくるのは、耳の中で殖えていく耳ダニの生活活動や、体液を吸うときにできた傷が耳ダニの糞などで汚染されて炎症が起きるからなんです。
もし飼い猫や世話している猫ちゃんが耳ダニに感染しているなら、症状が酷くならないよう、また、他の猫にまで感染が広がらないよう努めなければなりません。耳ダニの駆除をしっかり行うと同時に居住空間を清潔に保つ必要があります。取り除いた耳垢は落とさないよう、ビニール袋に入れるなどして処理してくださいね。
耳ダニに感染していない場合でも、耳ダニ予防は必須といえます。外へ遊びに出かけることの多い猫ちゃんなら、よそで耳ダニを貰ってくる可能性が高いですから、いつ感染してもおかしくはありません。人間にもうつってたいへんなことになってしまいます。
耳ダニの感染は早期発見が大事です。先ずは耳の中が黒くなっていないか猫の耳の中を調べたり、猫が耳や頭を頻繁に掻いていないか、また、頭を振るようなしぐさを度々していないか様子を気にしてあげてください。
毎月のノミ・マダニ予防と一緒に耳ダニ予防もできる駆虫薬なら、一石三鳥どころかお腹の虫も駆除できるので便利です。猫用で耳ダニ予防と駆除が可能なノミダニ薬は下に載せている3種類です。マダニと耳ダニは別物ですから、マダニ薬全てが耳ダニを駆除できるものではありませんのでご注意ください。
猫の耳ダニ予防薬・治療薬
猫の耳ダニ予防・治療薬 「レボリューション」 と 「アドボケート」
左の画像は上が「レボリューション」で、下が「アドボケート」のスポットタイプのピペットです。ご覧の通り、両方ともフタをひねって使う仕様となってますね。
どちらもノミ、線虫類、耳ダニの予防と駆除ができる薬です。線虫類は腸管内に寄生する回虫、鉤虫、鞭虫と心臓に寄生する犬糸条虫を指します。また、どちらもマダニと条虫類は駆除できないという共通点があります。
レボルーションにはストロングホールドという販売名が違うだけの同一品がありますが、ここでは全てレボルーションで話を進めるのでストロングホールドも同じであると理解してください。
レボリューションとアドボケートは似通った薬ですが、ここでは詳細を割愛するので「レボルーションとアドボケートって、何がどう違うの?」のページをご覧ください。駆虫できる対象となる寄生虫の多さではアドボケートが優れています。レボリューションは“ノミの卵や幼虫の発育阻害”が可能で、これはアドボケートにはありません。
レボリューションとアドボケートどちらが良いのかというと、やはりアドボケートになりますよね。ついついアドボケートを選んでしまいがちですが、成分が両者で違ってきますので、使われている薬液の成分が猫ちゃんによって合う合わないがあると思います。
初めてお使いになられるなら、投薬後は猫ちゃんの様子を気にしてあげてください、
レボリューションもアドボケートも薬液を体に滴下するタイプの経皮薬です。「ピペットの使い方と投与方法」を参考にお使いください。どちらも猫の体重で投薬量が違ってくるので、使用前、購入前には体重測定を必ず行ってくださいね。。
レボリューション猫用 |
レボリューション子猫用 |
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対象 : 生後 8週齢〜、体重 2.6kg 〜 7.5kg
内容量 : 0.75ml × 3本
有効成分 : セラメクチン 60mg/ml
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対象 : 生後 6週齢〜、体重 2.5kg以下
内容量 : 0.25ml × 3本
有効成分 : セラメクチン 60mg/ml
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ストロングホールド猫用 |
ストロングホールド子猫用 |
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対象 : 生後 8週齢〜、体重2.6kg 〜 7.5kg
内容量 : 0.75ml × 6本
有効成分 : セラメクチン 60mg/ml
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対象 : 生後 6週齢〜、体重 2.5kg以下
内容量 : 0.25ml × 3本 × 2箱
有効成分 : セラメクチン 60mg/ml
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アドボケート猫用 4kg以上 |
アドボケート猫用 4kg未満 |
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対象 : 体重 4kg以上
内容量 : 0.8mL x 3本
有効成分 : イミダクロプリド 80mg モキシデクチン 8mg
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対象 : 体重 4kg未満
内容量 : 0.4mL x 3本
有効成分 : イミダクロプリド 40mg モキシデクチン 4mg
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ストロングホールドプラス 子猫用 2.5kg未満 |
ストロングホールドプラス 猫用 2.5〜5kg未満 |
ストロングホールドプラス 猫用 5〜10kg未満 |
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内容量 : 0.25ml × 3本
有効成分 : セラメクチン 15mg サロラネル 2.5mg
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対象 : 体重2.5kg 〜 5kg
内容量 : 0.5ml × 3本
有効成分 : セラメクチン 30mg サロラネル 5mg
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対象 : 体重5kg 〜 10kg
内容量 : 1ml × 3本
有効成分 : セラメクチン60mg サロラネル10mg
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ピペットの使い方と投与方法
画像引用 : Life with Pet アドボケート猫用、バイエル薬品株式会社
Step 1
薬をお使いになる前に、先ずは猫ちゃんをお風呂に入れて全身をきれいにしてあげてください。
シャンプーして汚れを落としてあげることで、寄生しているかもしれない虫をある程度まで落とすことができますからね。それに、薬液が皮膚に浸透しやすくなりますよ。シャンプー嫌いの猫ちゃんや、お風呂に入れることのできない猫ちゃんは無理強いする必要ははありません。
Step 2
これから使おうとする薬が猫用であるのか、猫の体重に合ったものであるのか再確認してください。
薬液量が少ないと100%効果を得られないですし、逆に量が多いと過剰投与となって猫ちゃんが体調を崩す恐れがあります。「ちょうど許容範囲が同じ体重の犬用があるから」と、犬用を使ってはいけません。
レボルーションとストロングホールドは犬用と猫用とではセラメクチンの濃度が2倍、アドボケートに関してはモキシデクチンが2.5倍も違うので、犬用を猫に使うと過剰投与になってしまいます。
Step 3
薬液が漏れ出ないよう丁寧にパッケージを開けて下さい。ピペット1本が1回分なので全量を使用します。
Step 4
猫の首の後ろの毛を掻き分け、薬液を皮膚の上に直接垂らします。
容器をつまみ薬液を垂らす際、一か所に全量垂らすと薬液が毛を伝わり流れてしまいます。これだと必要量をしっかり投薬できたかどうかわかりませんよね。ですので、薬液を少しずつ少しずつ何か所にも分けて垂らした方がいいかと思います。
猫はグルーミングで自分の体をあちこち舐めますから、猫の舌が届かない部分(後頭部周辺など)に投薬するといいでしょう。
投薬を終えた後は手をよく洗ってくださいね。薬液は皮膚に浸透して効果を発揮しますから、手についた薬液がご自分の手にも吸収されることもあります。投薬後、猫の体の汚れが気になりシャンプーしてあげたいと思っても、2日間は我慢してください。でないと薬液を洗い流してしまうことになってしまいます。
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