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シクロスポリンによる Th1 細胞の CN 阻害で免疫抑制が起こる

 

シクロスポリン(CsA)が最も用いられている小動物の疾患は犬アトピー性皮膚炎である。

引用:免疫抑制療法の考え方 -mVm Vol.24 No.153 2015/3

 

アトピカ ジェネリック薬

 

犬や猫のアトピー性皮膚炎はアレルギー性皮膚炎の一つです。

 

他にはノミアレルギーや食物アレルギーがあり、いずれも痒みや炎症を伴う皮膚炎を主徴としています。炎症反応があるということは、原因となる抗原が存在するということですよね。食物アレルギーなら食餌中の成分、ノミアレルギーならノミの唾液、アトピー性皮膚炎なら環境中の物質がアレルゲンとなります。

 

 

こちらのページ(『「アトピー素因」+「皮膚バリアの低下」=アトピー性皮膚炎発症』)では人のアトピー性皮膚炎の場合について書いていますが、犬や猫の場合もほぼ同じ理由でアトピー性皮膚炎になると理解されるといいでしょう。人と同じく犬や猫も皆、何かしらの環境物質に晒されながら毎日を送っています。目に見えにくいものばかりですが、生活環境はアレルゲンだらけです。

 

 

ホコリ、フケ、抜け毛、カビ、花粉、ダニの死骸などなど。空気中を漂うこれらハウスダストの吸引(呼吸)や接触(皮膚への付着)で免疫が過度に働くがために、尋常でないほどの激しい痒みや炎症による皮膚の発赤や腫脹が現れてくるのです。体がアレルゲンに対して自己防衛しているのですね。

 

 

「リンパの流れを良くして浮腫みを解消する」などと見聞きされたことがあるかと思います。リンパ(リンパ液)はリンパ管の中をゆっくりと流れ体の中の老廃物や余分な水分を回収するだけでなく、リンパ球と言われるT細胞、B細胞、NK細胞といった免疫にかかわる細胞成分も有しています。

 

 

ここから先はリンパ液の中の主たる細胞種の一つといわれるT細胞だけを取り上げて話を進めますね。アトピー性皮膚炎の場合、ヘルパーT細胞の中の Th1、Th2、Th17、Treg が発症に関係しているといわれています。

                  シクロスポリン
                    ↓
      IL-12、IFN-γ |―――→ Th1 ⇒⇒⇒⇒ IL-2、 INF-γ、 TNF-β 
              | B分化     C産生
         IL-4 |―――→ Th2 ⇒⇒⇒⇒ IL-4、5、6、9、10、13、IL-31
              |       ↑
              |    オクラシチニブ
@抗原提示         |
  ↓  A分化誘導  |―――→ Th3
 Th0 ―――――――→|―――→ Th9
(CD4+Tcell)       |―――→ Th17       (省 略)
            |―――→ Th22
            |―――→ Tr1
            |―――→ Treg
            |―――→ Tfh

@ ある物質がアレルゲンとして認識され、その情報が抗原提示細胞によって Th0 に伝わる
A Th0 細胞の分化が誘導される
B 樹状細胞や周囲の免疫細胞が産生するサイトカイン(IFN、IL)によって各 T 細胞に分化する
C 各 T 細胞の受容体に抗原が結合することによって各種サイトカインが産生される

 

 

アトピカ ジェネリック薬

シクロスポリンはこの中の Th1 をターゲットにした免疫抑制剤です。

 

Th0 細胞から分化した T1 細胞は IL-2、 INF-γ、 TNF(腫瘍壊死因子)を産生し、遅延型アレルギーの発生や細胞内寄生性微生物の防御といった役割を担っています。これは産生されたサイトカインが他の免疫細胞を活性化させているからなのですが、シクロスポリンは T1 細胞特有のサイトカイン産生を阻害することで新たなサイトカインが生じないよう機能するのです。

 

 

Th1 細胞のサイトカイン産生は細胞内で行われます。 細胞膜上にあるT細胞の受容体に抗原が結合すると、細胞質内でシグナル伝達が生じて核内でのサイトカインの転写活性が増します。抗原刺激でサイトカインの産生が始まり、それが細胞の外へ出ていくことで他の細胞に影響を及ぼすのですね。

 

 

シクロスポリンはシグナル伝達に特異的に作用する働きを持っています。限定的に作用することでサイトカインの産生を絶ちますから、広義に分類するとシクロスポリンは分子標的薬に含まれます。

 

 

シグナル伝達にはカルシニューリン(Calcineurin:CN)なる脱リン酸化酵素が関わっています。

 

 

投与されたシクロスポリンは Th1 細胞の細胞質内に入って細胞内結合タンパクのシクロフィリンと複合体を形成し、その形成された複合体がカルシニューリンと結合することでシグナル伝達の邪魔をするのです。

 

例えると、依頼を受けて書いた記事等が担当者のチェックを受けてから印刷所に回され印刷・配布されるはずが、担当者をよそ者に抱き込まれ不可能となった、ということになるのでしょうか。

 

 

シクロスポリンが Th1 細胞特有のサイトカインの産生を阻害する結果、例えば IL-2 に影響を受けるT細胞や細胞障害性T細胞(ナチュラルキラー細胞:NK細胞)の増殖や活性化、B細胞の増殖と抗体産生能の増大、単球・マクロファージの活性化などから至る免疫反応が抑えられているのです。

 

 

 

参考:これだけは知っておきたい免疫抑制剤の基礎知識

アトピカ 10mg, 25mg, 50mg, 100mg 添付文書

第T章 リンパ球 獲得免疫と自然免疫インターロイキン-2

アトピー性皮膚炎の発症/病態形成における免疫の役割

明日から使いこなそう免疫抑制剤〜シクロスポリンの使い方の要点を中心に〜

 

シクロスポリンとステロイドの併用は痒みを初期段階で軽減する

 

@ 使い方を誤ると怖いステロイド

 

動物病院で獣医師に犬や猫を診てもらった後、ステロイド(プレドニゾロン)を処方されることがあります。診断の結果、治療に必要とするから出されるのですが、ステロイドだけに少なからず副作用の心配が頭をよぎるかもしれません。怖いのは長期にわたって経口摂取した場合です。

こちらのページもご参考下さい)

 

ステロイド、つまり副腎皮質ホルモンを意図して摂取することになりますから、長期使用の後、服用を止めたときには体内の副腎皮質ホルモンが不足した状態になっています。本来は副腎で生成されるホルモンを”あえて”摂り入れていたので、副腎のホルモン分泌機能が弱まってしまったのですね。

 

 

これを副腎皮質機能不全といい、この他にもステロイドを服用することで様々な副作用が見られます。ステロイドは効き目が早く、しかもよく効く薬である反面、投薬方法を間違えると治癒するどころか症状を悪化させてしまい、それが長引くほど見るも無残で可哀そうな状態になってしまいます。

 

 

ですので、獣医師が治療計画を立てて処方したステロイドを、飼い主さんが独断で飲ませなかったり途中で止めたりするのはNGです。が、「効き目が無くなってきた」、「また痒がり出した」からといって連用するようであれば誤使用の場合もありますので、もし愛犬や愛猫の状態が一向に改善されないようでしたら、皮膚科専門の獣医師に診てもらうことを検討された方が賢明かと思います。

 

 

ステロイドを長期間高用量を摂取した場合に副作用が現れやすいと言われますよね。@ 人と比べると犬や猫は高用量で使用しないと効果がでない、A 犬よりも猫の方が副作用に耐性がある、B 副作用の出現には個体差がある。といったことも心に留めておかれるといいのではないでしょうか。

 

A シクロスポリンをサポートするステロイド

 

多岐にわたる副作用を持つ薬との印象が強いステロイドですが、注意すべきは使用方法なのです。
ステロイドの持つ抗炎症作用と幅広い免疫作用の即効性を期待した、ステロイドに対する経験値の低い獣医師による処方や、飼い主の自己判断による間違った投薬方法も大いに関係しているのです。

 

 

それはさておき、ステロイドは免疫抑制と炎症を鎮める効果を同時に、しかも効き目を早く感じられる薬ですから、デメリットを念頭に置きステロイドの単独使用でなく治療の初期段階から他の薬と併用して使い、徐々にステロイドを減らしていくといった方法が取られています。

 

 

『しばらくはステロイドとの併用で、今はステロイド無しで維持できている』

 

 

これはシクロスポリン製剤を愛犬に服用させている飼い主さんの声です。グラフをご覧ください。

 

アトピカ単独群 : アトピカ 5mg/kg 1日1回を28日間

 

プレドニゾロン併用群 : アトピカ 5mg/kg 1日1回を28日間

  プレドニゾロン 1mg/kg 1日1回を7日間、

その後は 20日目まで隔日投与

 

引用:アトピカ 製品特性 01

 

シクロスポリン製剤(アトピカ)だけを単独で使用した場合、痒みの減少率が 1か月かけて -40% まで下がるのに対し、ステロイド(プレドニゾロン)を併用した場合は3〜4日程度でその値まで減少していることがわかります。また、投与後2週間の減少率を見ると、シクロスポリン単独だと -25% であるのに対しステロイド併用だと -70% を下回っています。ステロイドの良さが活かされてますね。

 

 

なぜこのような結果となるのでしょう? 次もお借りしたものですが、下をご覧ください。

T細胞はアトピー性皮膚炎の炎症において中心的な役割をもつリンパ球の1つである。

 

T細胞は産生するサイトカインの種類によって大きくTh1細胞とTh2細胞に分類される。

 

アトピー性皮膚炎の急性期の病巣部位にはIL-4やIL-13と呼ばれるサイトカインを産生するTh2細胞が多く集まり、IFN-γを産生するTh1細胞はあまりみられないことから、アトピー性皮膚炎の初期炎症では Th2 細胞が重要な役割をもっていると考えられている。

 

慢性期の炎症部位では IFN-γ を産生する Th1 細胞も増加するといわれている。

引用:第2章 アトピー性皮膚炎

 

先述したように、シクロスポリン(CsA)はカルシニューリン(CN)阻害剤です。

(「シクロスポリンが免疫抑制を示すその作用機序は?」をご参照ください)

 

CN の働きによる NF-AT(活性化T細胞転写因子)の脱リン酸化 → NF-ATの核内移行 → サイトカイン(TIL-2、INF-γ)産生を、T細胞内でシクロフィリンという蛋白質と合体した CsA が CN と結合し阻害することで、産生されるはずのサイトカインから影響を受ける免疫作用を抑制するのです。

カルシニューリン(CN) + 【 シクロフィリン + シクロスポリン(CsA)】

← 阻害

NF-AT(活性化T細胞転写因子)の脱リン酸化

×

NF-ATの核内移行

×

サイトカイン(TIL-2、INF-γ)産生

 

シクロスポリンは Th1 細胞に作用することでサイトカインの産生抑制をするのですが、上の図と解説を見ると、Th1 細胞は慢性の湿疹期の炎症部位で多く見られる・増加するとありますから、Th2 細胞に対する作用をステロイドがカバーしている。だから先に述べた痒みの大幅な減少率をわずか3〜4日程度で得た、と考えることができるのではないでしょうか。

 

ステロイドはリンパ球(免疫細胞)全体を減らす作用がありますからね。

 

B 容量依存性があるシクロスポリン

 

興味深い研究結果が報告されているので、ここで少し触れてみることにします。

シクロスポリンを7頭の健康な犬に 10mg/kg/2回/日与えた場合と 5mg/kg/1回/日与えた場合とでは、産生が抑制されるサイトカインが異なった。Th1 細胞は IL-2、INF-γ、TNF を産生するが、投与した8日後にサイトカインを測定をすると高容量(10mg/kg/2回/日)だと IL-2INF-γが、低用量(5mg/kg/1回/日)だと INF-γ だけ有意に抑制されていた。

 

これらの結果は、シクロスポリンの作用は投与量に依存している可能性を示すものである。

 

引用:これだけは知っておきたい免疫抑制剤の基礎知識

明日から使いこなそう免疫抑制剤〜シクロスポリンの使い方の要点を中心に〜

シクラバンス内用液100mg

 

Th1 細胞が産生するサイトカインは IL-2,、INF-γ、TNF-βです。
(※上記の研究報告ではTNFについて触れられていないので IL-2 と INF-γのみの解説と致しますね)

IL-2: 免疫調節機構に広く関与
T細胞の増殖及び活性化、B細胞の増殖と抗体産生能の亢進、単球・マクロファージの活性化、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)の増殖・活性化、リンホカイン活性化キラー細胞(LAK細胞)の誘導
INF-γ: 免疫応答促進に働く
キラーT細胞(細胞傷害性T細胞)や白血球の一つである食細胞マクロファージを活性化して炎症を強める作用があり、細胞内寄生性微生物の防御・排除や遅延型アレルギーを引き起こす。

 

シクロスポリンの投与量の増大に伴い産生抑制されるサイトカインの種類も増え、免疫抑制がより強まる。つまりは産生されるサイトカインが INF-γ だけでなく IL-2 も、と追加されることでサイトカインの影響を受ける免疫細胞の活性化等が一層抑えられるということです。

 

 

犬のアトピー性皮膚炎の場合は投与の基準量が 5mg/kg/1回/日 です。

 

この基準量の使用で INF-γ だけの抑制となってしまっているのであれば、「投薬したのに効き目が悪い」と感じることがあるかもしれません。もしかすると逆に「副作用が出てきた」となる場合もありますので、【治療の際には症例に合わせた治療方法の調整が必要】と添付文書にあるように、薬用量を増減(5〜10mg/kg or 〜5mg/kg)させる必要があることがわかりますね。

 

C 薬の効きを左右する P-糖たんぱく質

 

その個体に用量を合わせた薬を飲んでも効く場合と効かない場合があります。なぜでしょうか。

 

薬は生体にとって何かしらの影響を与える化合物です。正の働きをすれば「薬」、負の働きをすれば「毒」となりますので、毒と薬は表裏一体といえますよね。どんなに良いとされる薬でも、投与量が過剰になれば生体に悪影響を及ぼしてしまいます。ですので効かないからと過度の摂取は禁物です。

 

 

薬が効かないのはP-糖たんぱく質による薬剤耐性が考えられます。細胞膜上には P-糖たんぱく質と呼ばれる細胞内外の物質輸送に関与する輸送担体(トランスポーター)が存在していて、生体にとって異物である薬が細胞内へ入らないよう、P-糖たんぱく質が排出に努めているのです。

 

 

ガン治療に抗ガン剤が効かない場合が多々あります。これはガン細胞が薬剤に対する耐性を本来持っていた、もしくは治療で抵抗性を持ったからなのですが、腫瘍細胞膜上の P-糖たんぱく質による抗ガン剤の排出が原因のこともあります。腫瘍に関しては存在だけでなくその門番もやっかいですよね。

 

 

余談ですが、あるガン治療にこの P-糖たんぱく質を狙った阻害剤と、これの影響(排出)を受けない阻害剤が有効との結果が得られた(出典)とありましたので、注目に値することだと思いませんか?

 

 

さて、この P-糖たんぱく質は普通の細胞膜上にも存在しています。臓器各所の詳細は割愛しますが、リンパ球、健康な犬なら末梢血中の白血球にも多く発現していることが認知されています。

 

 

ステロイドはリンパ球(免疫細胞)全体に作用する強力な免疫抑制剤なのですが、リンパ球上に P-糖たんぱく質が多数存在していると、リンパ球内にステロイドが取り込まれないため、せっかくのステロイドも力を発揮できなくなるのです。もし、

 

 

『ステロイドを投薬したけどあまり効果が無かった』

 

『ステロイドと抗生物質を処方されても治りきらない』

 

 

とお感じになられる場合は、P-糖たんぱく質がステロイドを邪魔しているのでは?と一考されるといいかもしれません。ステロイドに対する反応が悪いのに、それに見合っていない用量を投与しても症状が良くなるどころか悪化する可能性が高いので、獣医師に相談されてみてはいかがでしょうか。

P-糖たんぱく質によって排出される物質

 

各種抗ガン剤
コルヒチンやタクロリムスなどの薬剤
脂質
ペプチド
ステロイド
ビリルビン
強心配糖体(ジゴキシン)
抗不整脈薬(キニジン、ベラパミル)
免疫抑制剤
抗HIV薬

引用:P糖タンパク質 -Wikipedia-

 

タクロリムスはシクロスポリンの類似薬で、外産のシクロスポリンに対しタクロリムスは国産です。どちらも土壌に存在する微生物から発見された抗生物質の一種であり、シクロスポリンはノルウェーの真菌(カビ)、タクロリムスは筑波山の細菌から分離されたものなんですよ。

 

 

 

参考:ステロイド薬の長期使用における注意点と副作用、アトピカ 製品特性 01、02

P糖タンパク質 -Wikipedia-副腎皮質ホルモンの使用について

免疫抑制療法の考え方、これだけは知っておきたい免疫抑制剤の基礎知識

明日から使いこなそう免疫抑制剤〜シクロスポリンの使い方の要点を中心に〜

アトピカ 10mg, 25mg, 50mg, 100mg 添付文書、シクロスポリンカプセル 日医工

抗がん剤耐性の分子機構 とその生物学的意義

 

シクロスポリン製剤の先発品と後発品

 

 

動物用シクロスポリン製剤の先発薬といえば「アトピカ」ですよね。人用だと「ネオーラル」。

 

表記されている製薬会社はアトピカがエランコ、ネオーラルがノバルティスとなってますが、元々はアトピカもノバルティスだったのです。シクロスポリンはノバルティスが開発したもので、2015年にノバルティスの動物薬事業をイーライリリーが買収し、その後の2018年にイーライリリーの動物用医薬品部門エランコが独立したため、表記がノバルティスからエランコに変更となったのです。

 

アトピカ ジェネリック薬

 

動物用薬の殆どは人用として開発された薬が転用されたものですから、成分表記を見ると全く同じであることがわかります。もちろん、動物種によって必要とされる成分量は違ってきますよ。アトピカは吸収性の良い薬剤なので空腹時にしっかり犬や猫に飲ませることで効果を発揮します。これはそのように製剤されているからなのですが、ネオーラルの前身「サンディミュン」が発端となってます。

 

 

シクロスポリンは脂溶性(油分ベース)なのでサンディミュンが開発された当初は吸収され難い薬でした。せっかく服用しても、成分の吸収に統一性が無ければ効き目にもバラツキが見られますよね。ですので製剤の過程で改良と工夫が施され、吸収性の良いネオーラルとなって発売されたのです。

 

 

このような経緯もあり、アトピカはノバルティスの特殊技術を踏襲して製造され、脂溶性でありながら水様性と同等の性質になっているのです。乱暴な例えになりますが、マヨネーズを手作りしたら油が上手く乳化せず分離してしまった。これがサンディミュンで、上手くできたのがネオーラルとアトピカなのです。サンディミュンとネオーラルの違いはこれなのです。

 

 

アトピカ以外にも動物用医薬品のシクロスポリン製剤は幾多もあります。製品名をそれぞれ挙げるとするならば、「シクロキャップ 25, 50」「シクロスポリン動物用10mg・25mg・50mg[あすか]」「アイチュミューン-C」「シクラバンス内用液」ですね。いずれもアトピカの後発品です。

 

 

アトピカは服用した後の血中濃度が安定するよう開発された製剤であることは先に述べましたが、後発品がそれに倣って製造されているのか否かはその製薬会社のみぞ知るところです。後発品を使い効果の出にくさを感じることがあるようでしたら、吸収性の良くない薬である可能性もあり得ます。

 

 

カプセルタイプの各シクロスポリン製剤を下のテーブルに載せています。

 

先に挙げた後発品の中で記載の無いものもあります。当サイトのトップページに免疫抑制剤の使用者レビュー数を載せたテーブルがありますが、カプセルタイプのシクロスポリン製剤はアイチュミューンが他の2つと比べて1割程度数が少ないものの、どれも近い数字となっています。

 

 

しかし、レビューを得られた期間でみると一番短いのはアイチュミューンです、他の2者よりも短期間で同数に近い数を獲得してるということは、それだけ高評価を得ている・選択されているとも判断できますね。アイチュミューンに限らず、SAVA VETのバラエティに富んだ製品は何れも安価なので。

 

品 名

アトピカ
Atopica

アイチュミューン C
ICUMUNE-C

シクロフィルミー
Cyclophil Me

分 類 犬用の免疫抑制剤 アトピカの後発品

ネオーラルの後発品
人用免疫抑制剤

メーカー

エランコ
Elanco

サヴァ・ヴェット
SAVA VET

バイオコン
Biocon

有効成分 シクロスポリン(Cyclosporine)
内容量 30カプセル/2箱 30カプセル/箱 30カプセル/箱
10mg 5,204円
25mg 6,308円 2,303円 3,062円
50mg 10,114円 3,931円 4,528円
100mg 16,648円 6,241円 7,087円

シクラバンス内用液100mg

 

記載の商品価格はUS$を日本円に換算したものです。

 

為替レートの変動で価格が上下するので、購入するタイミングによって販売価格が若干変動する場合があります

 

 

参考:明日から使いこなそう免疫抑制剤〜シクロスポリンの使い方の要点を中心に〜

アトピカ 製品特性 02

 

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