犬のノミダニ薬の投与は春先から初冬まで、理想的なのは通年投与
“春は予防のシーズン”といわれます。4月に入ると“ノミ、マダニ、フィラリアの予防のお知らせ”を書いた案内のハガキが動物病院から届きますよね。それで「あぁ、もうそんな時期か」と準備を始める方が多いのではないでしょうか。
一般的に、ノミやマダニ予防は春から秋の終わり頃までといわれていますが、実はこれって結構あいまいなんです。気温の高いところだと季節に関係なくノミやマダニが見られるので、予防は一年中行うのが理想的なんです。
「一年を通して毎月ノミダニ予防するなんて…。必要なくない?」
そうですよね。気温が高くない、むしろ低い地域に住んでいるなら通年予防は不要で無駄にも思えますよね。それに、もしかすると室内飼いで愛犬をあまり外に出さない飼い主さんは「うちの子にノミやマダニがついているのを見たこと無いから、マメにノミダニ予防しなくてもいいんじゃないの?」と思っているかもしれません。
でも、何となくの判断で予防をしていると、「ノミがついてる!いつの間に?!」なんてことがよくあります。また、「犬が体を痒がっていたり、ノミが見つかったら予防を始める」という飼い主さんがいらっしゃいますが、予防という観点からだと、犬にノミやダニがついてしまう前にノミマダニ薬を使う方が賢明なのです。
ノミの感染
気温が13℃以上あるとノミは卵から成虫までの成長を繰り返すことが出来るので、寒い冬場でも暖房の効いた室内であれば家具の下や畳、絨毯などでどんどん増えていきます。「ノミを駆除したのにまた出てきた!」というのは、駆除される前のノミが産んだ卵が残っていた、既にサナギになっていた個体が羽化のタイミングを待っていたから新たなノミが発生したのです。このサナギが曲者なんです。
ノミに寄生された犬はノミの吸血による貧血、痒み、吸血されるときに犬の体の中に入るノミの唾液によるノミアレルギー性皮膚炎などの被害を受けますが、これだけに終わりません。あまりの痒さから犬が体をカジカジしたときに、ノミが口に入り飲んだりしてしまえばノミの体内にいた瓜実条虫(犬条虫)も一緒に犬の体の中に入ってしまいます。経口感染が成立し、条虫の寄生によって引き起こされる下痢,食欲不振,嘔吐などの症状が現れてきます。
画像引用:ノミのライフサイクル(バイエル薬品株式会社)
マダニの感染
マダニは卵から孵化するとすぐに動物の血を吸うため活動を始めます。
草むらで待機し、そこを通る動物に取り付き、額、目の周り、口回り、頬、耳、腹部など皮膚の柔らかいところに移動して吸血します。マダニは一度皮膚に口を差し込むとセメント様の物質を出して固定し、はち切れんばかりに膨れ上がるまで吸血し続けます。
もしマダニが寄生しているのを見つけたとしても、無理に引っ張って取り除こうなどしてはいけません。
ダニの体の一部が皮膚に残ってしまい皮膚炎の原因となりますからね。皮膚に食い込んだ厄介なダニがいたとしても、マダニを駆除する薬を使えばマダニが吸血の際、薬の成分を体液と一緒に取り込むことになるので死んでしまいます。
人もマダニに寄生されるので、山、藪、草むらなどに入った後はマダニが付いていないか注意しておく必要があります。寄生されても食いつかれた場所によってはなかなか気づきにくく、マダニがある程度大きくなって初めてマダニの存在に驚かされることもありますからね。この場合も無理に引っ張って取ろうとするのはNGです。
飼い犬用の滴下タイプのノミマダニ薬をマダニに直接垂らして使っているチャレンジャーな人も中にはいますが、病院へ行ってください。動物病院ではなく人の病院ですよ。