アトピカは犬のアトピー性皮膚炎を治療するElancoの先発医薬品
エランコ(旧:ノバルティス)は世界的にその名が知られている有名な製薬会社ですよね。
当サイトでご紹介しているアトピカのみならず、フィラリア予防薬のインターセプター、犬の分離不安症を改善・治療するクロミカルム、慢性心不全の犬や慢性腎不全の猫の治療に使われるフォルテコールといった動物用医薬品もエランコ(旧:ノバルティス)が出しているのですよ。
Atopica(アトピカ)は犬のアトピー性皮膚炎の症状の治療を目的として開発された免疫抑制剤なのですが、アレルゲンに対して過剰に反応してしまう免疫系皮膚細胞の働きを抑制する働きがあるため、アトピー性皮膚炎の症状を緩和する以外にも、肛門周囲瘻(ろう)や乾癬、腎炎症候群を含む様々な自己免疫疾患に対処することが可能であることが証明されています。
シクロスポリン製剤には様々な剤型があります。
下の写真のようなカプセル、猫用アトピカでお馴染みの液剤、粉剤のほか、点滴注射用の注射剤があります。脂溶性の性質を持つ成分シクロスポリンをノバルティス社がオリジナル製法でより吸収性の良い薬へと向上させた、という話をこちらのページに書いていますので、ご興味がありましたらご一読ください。
画像引用:アトピカ Elanco
ご覧の通り、アトピカのカプセルは 4サイズあります。カプセルは一般的なものと比べると柔らかく、それでいて思いの外厚みがあり、形も円筒状ではなく楕円球状をしています。サイズによってはカプセルが短いので、アメリカンフットボール状もしくはラグビーボール状にも見えませんか?
アトピカの開封時に独特な臭気を感じるかと思います。
人によっては玉ねぎのようなニオイにも思えるかもしれません。これは薬の異常や変質が原因によるものではなく、薬品臭なのでご安心ください。しかし、人でさえこの臭いを感じるくらいですから、人よりも嗅覚の優れた犬や猫にとっては不快なものであることは間違いないでしょう。
変な臭いがする上にソフトカプセルの中には苦い液状のシクロスポリンが詰まってますから、投薬に手間取ったりカプセルを傷つけて中身を出してしまうなど失敗すると、大抵の子は臭いと苦みで薬嫌いに拍車がかかり、それからの投薬に苦労することは否めません。逃げたり怒ったり暴れたりと…。
素直に口を開けさせてくれる子、喉の奥(下の付け根)に薬を押し込んで口を閉じれば飲み込んでくれる子、口の大きな中型犬以上の大きさの子だと投薬に苦労することは少ないかもしれませんが、アトピカの 10mg サイズであっても体重が数 kg 程度しかない超小型犬にとっては薬が大きいのです。
だからといってカプセルを破って割り、中の薬を犬や猫にとって嗜好性の高い何かと一緒に与えるようなことは、可能な限り控えた方がいいですよ。アトピカは空腹時に投与する方が吸収率が良いのです。けれども、「そう言われてもうちの子に飲ませるのは難しい」とおっしゃる方、多いですよね。
そのような場合は、アトピカを凍らせてから投与するとか、食餌と一緒に投与することもできます。
食餌と一緒だと空腹時に比して吸収率が劣りますが、凍らせたからといってシクロスポリンが体内でどのように代謝されてどのように組織に分布し、そしてどう排泄されるのかといった薬物動態は変わりません。疑問点・不安等があれば必ずかかりつけの獣医師に相談してください。
ところで、「アトピカを高温多湿な場所で保管する・している」方はおられないと信じていますが、薬は特別な指示がない限り、基本的には常温(15℃〜25℃)か室温(1℃〜30℃)、もしくは冷暗所(1℃〜15℃ or 15℃前後)で保管します。アトピカも然りで、添付文書には【直射日光及び多湿を避けて保管する】とあり、特に 10mg カプセルは 25℃ 以下で保管する必要があります。
日本が亜熱帯化してきているといわれて久しいですよね。夏になると猛暑続きで気温も 35℃を超える日が珍しくなくなっていますから、屋内でも場所によっては蒸し風呂状態になります。アトピカは【40℃以上の環境下でカプセルが軟化し変形する可能性がある】ので、保管場所にご注意ください。
参考までにアトピカ利用者の声を載せておきますね。
『 アトピカはカプセルの方が液体より飲ませやすい 』
『 アトピカを愛犬に飲ませているのに痒みが出始めた。
薬のクオリティが下がったのかと思っていたら、「犬も高齢になると薬の吸収力が低下してくる。そのため今まで飲ませていた量では効き方も変わってくる」と、相談した獣医に言われた 』
『 経済的理由でアトピカの後発品を使っているが、
アトピカの方がカプセルもしっかりしていて液漏れの心配がない 』
『 ジェネリック薬を数種類使ってみたが、投与1時間後に必ず嘔吐するようになってしまった。アトピカに切り替えたら目立った副作用もなく使用できている 』
『 獣医師から100mgを飲ませるように指示されているが、カプセルが大きくてなかなか飲んでくれない。割高になるが50mgを2つ飲ませることにしたら飲ませやすくなった 』
『 安さにつられてジェネリック品に手を出したら下痢して大変だった。
もうジェネリックは止めておく 』
『 そのまま飲ませると吐いたり下痢になったりしていたが、
冷凍したものを飲ませるようにしたら副作用がほとんど出なくなった 』
『 何回か後発品を利用していたが、やはりアトピカの方が効きが良い 』
参考:アトピカ 製品特性 01、02、アトピカ 10mg, 25mg, 50mg, 100mg 添付文書