ゴールデンレトリバー 飼いやすい

老夫婦に甘やかされたゴールデンリトリバーに飛びかかられました

 

高齢者 犬 飼いやすい 穏やか

 

学生の頃アパートで一人暮らしをしていました。

 

管理人さんは人の良い老夫婦で、深夜に鍵をなくしてしまったときなどにも快く対応してくださったりと優しい方々でした。でもあるときその管理人の老夫婦がゴールデンリトリバーを飼いはじめたんです。

 

子犬の頃は可愛くて、おばあさんと散歩するのをほほえましく見ていたのですが、今から考えると犬の好きに歩かせていたり、私に甘噛みしてきてもまったく叱らないなど、あまり良くない飼い方をしていたように思います。

 

 

1〜2年くらいすると犬もすっかり大きくなりました。おとなしい犬種とはいえ若くて好奇心旺盛、力も強いので管理人のおばあさんが引きずられるようにして散歩をしているのをよく見かけました。そしてある日、アパートの駐車場で私を見つけたゴールデンレトリバーが、おばあさんの持つリードを振り切ってこちらに一目散に走ってきたのです。

 

 

実は私はあまり犬が好きではなくて、子犬くらいならお世辞で可愛いと言ったりなでたりしていましたが、すっかり大きくなったゴールデンレトリバーに内心恐怖感を覚えていました。私は身長が低いので、下手をしたら自分くらいの大きさに見える動物が怖かったのです。そのゴールデンリトリバーがリードを振り切りすごいスピードで走ってきたので、私は恐ろしさのあまり立ちすくんでしまいました。

 

 

後ろではおばあさんが「これこれ」とか言っていた気がしますが、犬がそんなものを気にするはずもなく、一瞬私めがけて走っているんじゃなくて、自由になったのが嬉しくてただ走っているんじゃないかな、とか楽観的考えに逃避してみたりもしましたが、そんな期待もむなしく犬はまっすぐに私に走りよってそのまま飛びついてきました。

 

 

犬は立ち上がると本当に私くらいに大きくて、とっさに頭をかばいましたが重たいのと助走をつけて飛びつかれた勢いでそのまま私は押し倒されて地面に転がりました。怖いやら痛いやらでパニックになって必死に頭を抱えて小さくなりましたが、犬は荒い息をついてところかまわず舐めてきます。犬の足に生えた硬い爪が、踏まれた腕や顔を引っかいて恐怖心をあおりました。

 

 

もう永遠にも感じる恐ろしい時間でした。涙を流しながら声も出せずじっとしているしかありませんでした。よたよたと追いついてきたおばあさんが「こらあーだめでしょおーごめんなさいねえー」と、リードを引っ張って犬を離してくれるまで犬は私を踏みつけながら舐め続けました。

 

 

犬にしてみればじゃれ付いただけなのでしょう。おばあさんにリードをにぎられてからも尻尾を振りながらぴょんぴょんと嬉しそうに飛び跳ねていました。でももう私にはその犬を可愛いなんてとても思えませんでした。土まみれで擦り傷だらけの私におばあさんは一生懸命謝ってくれましたが、本当に悪いと思っている様子ではなく、ちょっと犬がいたずらしただけ、というような感じでした。

 

 

私はこれ以上犬のそばにいたくなかったので早々においとまして部屋に帰りシャワーを浴びました。お湯が傷にしみました。大型犬の中でもゴールデンリトリバーはしつけやすく穏やかな犬だと聞いています。そんな犬ですらしつけをされないで育てばこんなに人に恐怖を与える存在になってしまうのだと思い知りました。犬に罪はないのでしょう。すべてしつける飼い主の責任です。

 

 

このケースで私は擦り傷程度で済みましたが、もっと気性の荒い犬であったら、倒されたときに頭でも打っていたらと思うと今でも恐ろしいです。最近はずいぶん犬の正しいしつけや飼い方が広まってきたとは思いますが、それでも犬を飼うなら是非、すべての飼い主さんには正しいしつけをお願いしたいと強く思います。大型犬ならなおさらです。

 

 

しっかりしつけられた犬で、飼い主がそばにいてくれたなら私も恐怖心を覚えることはありません。犬を可愛いと思うなら、その犬が他人に憎まれるような存在にならないよう飼い主の責任を果たしてもらいたいと思います。

 

 

 
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