ACE阻害薬が心不全の治療に有用とされるその働きとは
唐突ですが、心臓をポンプ、血管をホースとして想像してください。
ホースが狭くなって塞がれてしまうと、ポンプに水が溜まって膨らみ、水を送り出しにくくなります。そうすると、水を送り出そうとして、ポンプに必要以上に負担がかかってしまいます。水の流れを良くするためには、塞がっているホースを広げていくことが必要です。
これを心臓と血管に置き換えてください。
血管が狭くなり塞がれると、心臓に血液が溜まり血液を送り出しにくくなります。
こうして心臓のポンプ機能が低下すると、心臓に負担がかかりエネルギーを消耗して心不全になってしまいます。心不全の治療には狭くなった血管を広げる必要があると考えられます。
血管を広げる効果がある薬として、アンギオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)があります。心不全の初期では、比較的、安全性が高い薬として使われています。
ACE阻害薬は血管を広げることで、血液の流れを改善することができます。
血流を良くするために、心臓のポンプ機能に負担をかけたり、エネルギーを浪費しすぎてしまうことなく、血流を改善することができるのです。
ごく稀にですが、血管が広がることで血圧が低下し、心臓や脳に送られる血液が低下してしまうこともあります。そうすると、命の危険もあるので症状によっては注意して処方する必要があります。
また、犬は人よりも血圧を感じるための機能が発達していると言われてます。
そのため、血圧が低下すると反射神経が過度に活性化されて頻脈となる可能性があるので、その症例ごとに配慮されます。
犬の僧帽弁閉鎖不全による慢性心不全の症状を改善するフォルテコール