強心薬の使用は弱った心臓に喝を入れるようなもの
心臓の収縮する力が弱くなると、心臓から全身へ送られる血液が少なくなり、犬だと元気が無くなるなどの症状が見られるかもしれません。治療のためには、心臓の収縮力を強くして、血液を多く送り出す必要があります。
弱った心臓を強く動かすために使われるのが、強心薬です。
強心薬にはいくつか種類があり、それぞれの心臓への作用が異なります。
ここでは、心不全で使われることが多いジギタリスについて簡単にご説明致します。
心臓の筋肉が収縮するためにカルシウムが使われています。
ジギタリスはそのカルシウムを増加させ、心筋を効率良く、より強く収縮させます。すると、心臓付近に流れずにたまった血液を全身に送り出すことができます。しかしながら、強心薬は他の薬と比べて特に副作用に注意が必要とされています。
心筋を強く働かせてしまうので、酸素やエネルギーが不足してくることで心不全をより悪化させてしまうことがあります。そのような場合は心臓の負担を軽減する薬を併用して負担を軽減していきますが、利尿薬との併用で低カリウム血症が起きやすいので注意しておく必要があります。
その点、ジギタリスと同じ強心剤であるベトメディンは心臓の心拍出量や消費する酸素の量を増やさないで心臓の収縮力を強めたり、また、血管を拡張させる働きがあるので心臓に負担をかけにくい強心薬として使われています。