犬 耳疥癬 感染

耳ダニが感染すると犬は耳をとても痒がり黒くて量の多い耳垢が出ます

 

 

犬 ミミヒゼンダニ

 

 

上の左側の写真は顕微鏡下で見た耳ダニです。動物の血液を吸うマダニと比べると脚が長いですよね。

 

 

耳ダニは「ミミヒゼンダニ」とか「耳疥癬(みみかいせん)」とも呼ばれ、犬や猫、フェレットなどの外耳道に寄生して、皮膚を穿孔することなく組織液を吸ったり剥離した表皮を食べて生息しています。

 

 

耳ダニが感染すると、上の右の写真のように黒くてガサガサした耳垢がたくさん出てきます。
この黒くてがさついた多量の耳垢と、激しい痒みが耳ダニ感染の特徴です。

 

 

 

耳ダニってどんなダニ?

 

 

写真を見ると拡大していることもあって大きなダニのように見えますが、実際は耳ダニの大きさは0.2mm〜0.5o程度なので小さいんです。小さなダニですが、耳ダニに感染した犬や猫の耳垢を紙の上などに置いてよくよく見ると、ダニが動いているのを観察することができるんです。

 

 

耳ダニは永久寄生性のダニで、一度寄生するとその後はずっと一宿主の体表で過ごし、耳から出る分泌物や耳垢などを食べ、そして活発に繁殖して卵をたくさん産むといったライフサイクルを送ります。

 

 

 

成ダニもやっかいですが、卵もあなどれません。耳ダニが感染すると耳垢が多量に出てきますが、この耳垢の中にダニの卵がたくさん入ってます。耳垢が周囲にばらまかれることで環境が汚染され、また、他の動物が触れたりすることで耳ダニに感染してしまいます。

 

 

犬や猫を複数頭飼っている場合、その中の1頭が耳ダニに感染していれば、生活環境に耳ダニの卵がたくさん落ちているはずですので、必ずと言っていいほど他の子たちも次々と感染してしまいます

 

残念なことに、耳ダニに感染するのは家の中だけではありません。散歩などで耳ダニ感染している他の犬と自分の犬や飼い主さん自身が接触することで、自宅に耳ダニ持ち帰ってくることだってあるんです。

 

 

耳ダニに感染する機会って意外なほど多く、簡単に感染するんですよ。

 

 

 

犬が耳ダニに感染したら

 

犬 耳 汚れ 黒い塊

 

 

先にも書きましたが、耳ダニが感染すると犬は尋常でない激しい痒みに襲われます。

 

しきりに頭を振り、我慢できないほどの掻痒感のため後肢で耳を引っ掻くようにするほか、地面や壁に耳をこすりつけたりすることもあります。そのために皮膚が傷つき細菌性の外耳炎や皮膚炎を起こすことが多々あります。

 

そして、外耳道には分泌物や耳ダニのフンなどが混ざった黒っぽいカサカサした耳垢が溜まっていきます

 

 

耳ダニの生息数がおびただしいと、この耳垢が耳からあふれ出んばかりに一杯になることもありますが、こうなると痒みがより激しくなってきます。痒みによるストレスで、犬が沈うつや食欲減退などの全身症状を起こすこともあります。

 

また、頭が傾いたままの状態(斜頸)になってしまったり、耳を引っ掻き過ぎて耳介の中の血管が破れて血液が貯留してしまう(耳血腫)こともあります。 耳ダニ感染って怖いと思いませんか?

 

 

 

ここまでくるとさすがに犬をそのままにしてはおけませんよね?

 

こうなる前に動物病院で行き、何らかの処置をしてもらう方が殆どかと思いますが、これをそのまま放置しておくと慢性の外耳炎に進行してしまいます。状態が悪くなればなるほど治療が難しくなり、さらには中耳炎、内耳炎にまで至ることもあります。

 

「黒くて大量の耳垢」と「犬が耳を痒がっている」といった、耳ダニが感染しているときの様子が認められた場合はすぐに動物病院で治療をしてもらいましょう。多頭飼いされているなら、耳ダニの再感染を防ぐため、お家にいる他の犬や猫も残らず全て同時に耳ダニ治療をする必要があります

 

 

 

犬の耳ダニ治療

 

 

まず最初に耳の中を洗い、潜んでいる耳ダニの数を減らします。

 

耳の洗浄を行わないで耳ダニ治療薬を投与しても、耳の中が汚れたままの状態だと耳ダニの餌となる耳垢や分泌物が豊富にあるということなのでまた耳ダニが繁殖して増えてしまいます。

 

それに、耳の中へ直接薬をいれたとしても耳垢の塊がが邪魔をしてしまうので、それらに潜んでいる耳ダニに薬が届きにくくなって効果を発揮することができません。

 

 

治療方法は個々の動物病院で若干違ってくるかと思いますが、耳ダニの薬を最低でも3週間くらい、一定間隔で投与します。治療の途中で一見良さそうに見えたとしても、途中で止めてはいけません。

 

「もう大丈夫そうだ」と、自己判断で通院するのを止めることなどしないで、治療を最後までやり通すことがとても大切です。

 

 

耳ダニ薬といっても効果があるのは成ダニと幼ダニなので、卵が孵化してしまうとまた耳ダニが出てくることになってしまいます。耳ダニの卵は産み出されてから成ダニに発育・成長するまで3週間程度と言われているので、卵が孵化して成長したダニを残らず駆虫するという意味もあり、耳ダニ治療を少なくとも3週間続けます。

 

また、痒みによる引っかき傷でできた2次的な皮膚炎や細菌性外耳炎がある場合は、耳ダニの駆除と同時に抗生物質や抗炎症剤も使うことになります。

 

 

 

犬の耳ダニ対策

 

 

耳ダニに感染した場合は治療に長期の時間を要します

 

感染した犬の耳ダニを駆除できたとしても、家の中など生活環境が耳ダニやダニの卵で汚染されていることもありますし、多頭飼いなら他の子たちも実は耳ダニに感染していたということで、また感染しまったということもあります。

 

耳ダニの治療は耳ダニの駆虫だけに終わりません。毛布や敷布などの洗濯や絨毯などの念入りな掃除もする必要があります。

 

 

耳ダニってとてもやっかいな生き物だと思いませんか?

 

耳ダニに感染して犬に辛い思いをさせたり、掃除等の手間暇がかかることを考えると、定期的な耳の中の洗浄と駆虫薬の投与で予防する方が賢明で簡単です。これなら飼い主さんが自宅でご自分でできますからね。

 

 

駆虫薬は耳ダニだけでなく、他のいろんな寄生虫も駆除できるオールインワンタイプの滴下薬なので簡便ですよ(「悩むほど沢山!ノミダニ薬はノミとマダニ以外に駆虫する虫で選べる」)。

 

 

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