他の犬が吠えると吠え続ける

 

私（10代男）がまだ幼いころ（小学生くらい）のお話です。

 

私の住む町は港町で、私の家の近くには加工場がたくさんありました。周りに公園もなく、友達と家の前や空き地などで遊ぶ毎日を過ごしていました。

 

 

ある日、いつも通り遊んでいてたまたまある加工場の前を通ると、急に大きな声で「わんわん！！ぎゃんぎゃん！」と吠えられました。周りにいる友達と私は驚き声のするほうを見ると大きな犬（雑種、大型犬ー当時小学生だった私とあまり変わらないくらいの大きさ）がこちらに向かって吠えまくり、こっちに向かって来ようと鎖をめちゃくちゃに引っ張っていました。

 

 

友達と一緒にその加工場から急いで逃げ、その近くで遊ぶのをやめよう、と約束したのを今でも覚えています。しかし、私の家とその犬がいる加工場は５０ｍくらいしか違わず、（その犬は外で飼われていたのですが）どうやら誰かが近くを通るたびに唸りほえるようで、毎日のようにけたたましく吠える声が聞こえてきました。当時小学生だった私は怖くてたまりませんでした。

 

 

それから大体1年後のことです。いつも通り吠えまくる犬の声にも悪い意味で慣れてしまっていたころ、吠える声に共鳴して違う犬の鳴き声が聞こえてきました。家族に話を聞くと、加工場の近くに新しく家が建ち、その家を建てた家族がどうやら犬を飼っているそうで、加工場の犬が吠える声に影響されて一緒に吠えてしまっているらしい、とのことでした。

 

 

その話を聞いてから数日が経ったある時、私は母親につ連れられてコンビニエンスストアへと向かっていました。いつも通り吠えてくる犬のまえをびくびくしながら母親に隠れて通過し、角を曲がって歩いていると、例の新居のまえを通った時、急に犬（犬種不明、大型犬）が犬小屋から飛び出してきてこちらに向かって吠えてきました。

 

 

私は驚きと恐怖ののあまり泣いてしまったことを今でも覚えています。もう二度とその道を通りたくない、と次からわざわざ少し遠回りして出かけるようになりました。

 

 

怖い思いをした日から数か月たったある日、他の近隣住民もその二匹に迷惑しているらしく、飼い主に相談しに行ったらしい、という話をききました。私は心底ほっとしました。これできっと怖い思いをすることが少なくなる、と安心しました。しかし、そう思ったのは束の間。結局鳴き声が改善されることはありませんでした。

 

 

どちらの飼い主も苦情を受けた時は申し訳なさそうに謝ったらしいですが、とくに自ら改善しようとする動きは見られず、新居の犬は犬小屋に「ほえてごめんね」の文字がペンキで書かれているだけで、加工場の犬に関しては全くノータッチ。

 

 

飼い主が近くにいる状態で誰かが吠えられているのを見ていても、「私は知りません」のような態度をとって目をそらすような状態で、ひどいものでした。結局それは私が高校に入って引っ越すまで二匹の犬たちは通行人に吠えるのを繰り返すことを止めることはありませんでした。

 

 

犬の騒音被害は耳にすることが多い話題ですが、どれだけ言っても飼い主が犬に止めさせることをしないと犬たちは皆吠えることをやめないと思います。なぜなら犬たちは悪いと思ってないのですから。飼い主は自分の犬が可愛くて仕方ない気持ちもわからなくはないですが、それと同時に犬を飼うということにしっかり責任を持ってほしいです。

 

 

「自分の土地から出ていないのだから誰にも迷惑をかけていない」「吠えられる人が悪い」というようなとんでもない考えをお持ちの飼い主さんもいるようですが、誰かが飼っている犬によって怖い思いをしているのなら、それは飼い主に責任があることをわかってほしいのです。特に小さな子供たちは大型犬とあまり体格差がありません。犬のほうが大きいこともあると思います。

 

 

通学路などに面している場所で犬を飼っている方や、子供たちが遊ぶことが多いような場所の近くに犬を飼っている方は特に気を付けてほしいです。私のように小さなころに怖い思いをして今でも覚えているような人が減ることを祈っています。