噛む犬 処分 保健所

飼い犬に対する恐怖心と、家の事情で犬を保健所に連れて行った後悔

 

和犬 噛む 処分

 

ハンドルネームはえり。20代の女性です。

 

私は小学生のころに犬を飼っていました。その犬は両親が知人から譲り受けた雑種で、飼い始めたころは小型犬くらいのかわいい犬で、見た目でいうと日本オオカミのようなかっこいい容姿でしたね。

 

私はその犬のことが大好きだったので散歩には毎日行き、犬が小さいうちは室内で飼っていたので寒い夜には一緒に眠ったりしていました。その犬も成長するにつれてだんだん大きくなり、成犬になるころには中型犬くらいの大きさになっていたかと思います。

 

 

小さかった犬が大きくなってしまったけれど、それでもわたしはその犬が大好きでした。しかし、私自身も成長するにつれ、その犬が家族以外の人にはなつかず、よく吠える犬なんだと気づき始めたころ家に遊びに来ていた友達のお母さんの手を犬が噛んでしまったのです。

 

 

友達のお母さんには「家族以外の人には懐かないから噛まれるかもしれない。触らないほうがいい」と事前に伝えてあったのですが、「大丈夫、大丈夫」と言って手を出してしまった結果噛まれてしまったので大事にはならなかったのですが、その光景を見ていたわたしは犬に近寄るのが怖くなってしまいました。それは側で見ていた弟も同じで、犬と遊ぶ回数は次第に減っていきました。

 

 

しばらく時間がたち、友達のお母さんが噛まれてしまったときの恐怖が薄れたころ、また犬に触れるようになりました。犬は久しぶりに触りに来たわたしを待っていたかのように甘えてきます。その時には犬のことが怖くなって近づかなくなったことを後悔しました。久しぶりに触った犬は小さくてかわいいあの頃のままだったのです。

 

 

わたしは犬に触れるようになりましたが、弟は触れないままでした。でも触りたい気持ちはあるようで、「怖いけど触りたい」とわたしに相談してきました。子どもながらに弟が触れる方法を考えて、わたしが「犬の目の前に立って遊んでいるから後ろからそっと触ってみるといい」と提案しました。それを実践してみると弟は、恐る恐る犬に触ることができました。

 

 

しかし、犬自身は急に後ろから触られて驚いてしまい、目の前にいた私に噛みついてしまったのです。わたしは右手の甲と右の太ももを噛まれてしまい大声で泣きました。わたしが噛まれたのを見ていた弟も大声で泣き、泣き声を聞いて両親が驚いて家の中から出てきました。

 

 

傷自体は大したことはなく、自宅での手当だけで済んだのですが、大好きだった犬に噛まれたショックはとても大きいものでした。わたしは今度こそ、犬に近寄ることができなくなってしまったのです。ごはんをあげる時にすら恐る恐るあげるようになりました。犬は中型犬で犬としては大きいほうではありません。しかし、小学生だったわたしには犬がとても大きく見えました。

 

 

わたしが犬に噛まれてからも犬は変わらず家にいました。しばらくしてから両親の仕事の都合で引っ越しをしなければならなくなりましたが、引っ越し先は動物を飼うことができないところでした。

 

それまでは親が寮の管理人をしていたので大きな寮の敷地内で犬を飼うことができていたのですが、両親の収入では家族4人の生活をしていくだけで精一杯なため、犬を飼うために動物可の料金の高くなってしまう住まいに引っ越すことができなかったのです。

 

 

犬はわたしたち家族以外の人には懐きません噛む犬だとわかっていて引き取ってくれる人はいないでしょう。わたしは犬はどうなるのか両親に聞きました。両親は悲しい顔をして答えてくれません。ある日家族みんなで犬を連れて車で出かけました。車の行く先は白い大きな建物で、父親が犬を連れて建物の中に入りました。

 

 

しかし、帰ってくる時には犬はおらず父親は車を走らせながら静かに話し始めました。「あの施設は他の犬も沢山いて、沢山犬がいる部屋に入るとすぐに、うちの犬は他の犬とケンカを始めてしまったよ。あの建物の中で犬は死ぬ順番を待つんだ」と言いました。

 

小さかった私には何のことかわかりませんでしたが、今思うとあそこは保健所で犬を殺処分する場所だったんだろうなと思います。

 

 

今でも、わたしは中型犬以上の大きさの犬に触ることに恐怖を感じます。大きな犬に触ることはできません。手の甲には、噛まれた傷が今でも残っています。しかし、その傷をみて感じるのは恐怖ではなく犬に対する申し訳なさと後悔です。

 

親の転職や引っ越しでやむを得ず飼い犬を手放してしまうことを想像することができませんでしたし、両親ともに犬の扱い方も知らず人を噛んだりよく吠えたてる犬にさせてしまったがために、飼い犬の最期を不幸なものにしてしまったので・・・。

 

 

 
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