服用タイプのノミダニ薬に使われている成分と副作用
ノミダニ予防の飲み薬にみられる副作用と注意事項
「犬に寄生するマダニやノミを飲み薬で駆除(予防)したい。でも副作用が怖い」と思うときがあります。
初めて使う薬ですから、その薬にどのような成分が使われていて、どのような症状が副作用として現れるのかわからないですからね。犬のノミマダニ薬で動物用医薬品に分類されるものは全て安全性が確認されているものです。
安心して使えるのですが、それでもやはり薬を飲む犬と薬の成分との相性や飲ませ方によっては副作用が現れてきます。ノミマダニ予防の飲み薬で多く見られる副作用は嘔吐と下痢です。下に各飲むノミマダニ薬の副作用と有効成分、飲ませる際の注意事項をまとめました。
ノミ・マダニ薬 | 副 作 用 | 成 分 | 注 意 事 項 |
---|---|---|---|
クレデリオ |
下痢 |
ロチラネル |
投与してはいけない犬
・8週齢(2か月)未満
使用を避ける
・妊娠中、授乳中の犬 |
コンフォティス |
嘔吐 |
スピノサド |
投与してはいけない犬
・14週齢(3か月半)未満 |
コンフォティスプラス |
下痢 |
スピノサド |
投与してはいけない犬
・8週齢(2か月)未満 |
シンパリカ |
嘔吐 |
サロラネル |
投与してはいけない犬
・8週齢(2か月)未満
使用を避ける
・繁殖に用いる犬 |
シンパリカ・トリオ |
嘔吐 |
サロラネル |
投与してはいけない犬
・8週齢(2か月)未満
使用を避ける
・繁殖に用いる犬 |
ネクスガード |
嗜眠
※一過性のもの |
アフォキソラネル |
投与してはいけない犬
・8週齢(2か月)未満 |
ネクスガードスペクトラ |
嗜眠
※一過性のもの |
アフォキソラネル |
投与してはいけない犬
・8週齢(2か月)未満 |
ブラベクト |
下痢
非常にまれにけいれんや嗜眠 |
フルララネル |
投与してはいけない犬
・8週齢(2か月)未満
使用を避ける
・繁殖に用いる犬
投薬は12週(3か月)に1回 |
服用タイプのノミダニ薬に使われている成分
ロチラネル、 スピノサド、 フルララネル、 サロラネル、 アフォキソラネル
Lotilaner、 Spinosad、 Fluralaner、 Sarolaner、 Afoxolaner
スピノサドは天然の土壌微生物である放線菌の発酵によって作られたマクロライド系に区分される物質です。
昆虫類やダニ類などの節足動物の神経系に作用することで、ノミやマダニは駆除されます。
これは、スピノサドがノミやマダニのニコチン性アセチルコリン受容体を興奮させることで麻痺を誘発させるからで、スピノサドが犬や猫には安全といわれるのは、哺乳類のニコチン性アセチルコリン受容体への親和性が低いためなんです。
サロラネル、フルララネル、アフォキソネラル、ロチラネルはイソオキサゾリン系のノミ・マダニ駆虫薬で、スピノサドと同じくGABA受容体阻害薬と同じ作用機序でノミやマダニを駆除します。やはりこれらも昆虫類など節足動物には高い毒性をもちますが、哺乳類への影響がほとんどない選択毒性があります。
ミルベマイシンオキシム
Milbemycin Oxim
左からフィラリア(犬糸状虫)、回虫、鉤虫、鞭虫
ミルベマイシンオキシムはマクロライド系の駆虫薬に属する成分で、細菌が産生した物質を変化させて得たものです。線虫類(フィラリア:犬糸状虫、腸管内に寄生する回虫、鞭虫、鉤虫)の神経細胞や筋細胞における神経伝達作用に障害を引き起こすことで弛緩麻痺を生じさせ、虫を殺します。吸虫や条虫に効果が無いのは、これらの寄生虫が末梢神経伝達物質としてGABAを利用しないためです。
フィラリアに感染している(フィラリア検査で陽性である)のに、コンフォティスプラスやネクスガードスペクトラなどのフィラリア予防薬を犬に投与すると、心臓にいるフィラリアの親虫が血液中に産み出したミクロフィラリアが一度に大量に死滅することによって血管に詰まってしまい、犬に元気消失、食欲不振、嘔吐、呼吸速迫、大静脈症候群等の症状が現れることもあります。
コンフォティスプラスやネクスガードスペクトラなどフィラリア薬の投与前には動物病院で必ずフィラリア検査を受けてください。