犬に寄生するノミとマダニを駆除・予防する飲み薬
8種類まで増えた飲むノミマダニ薬
犬に寄生するノミやマダニを駆除する薬を選ぶうえで重視すべき点は次の3つです。
ノミやマダニは節足動物で動物の体表に寄生する外部寄生虫です。その虫を駆除するのですから、使う薬はいわゆる殺虫剤です。殺虫剤というと人や動物にも少なからず悪影響を及ぼす、そんなイメージが付きまといますよね。虫を殺すのに哺乳類にも害があるなら、使うのを(極力)控えようとも考えますし。
「殺虫剤を犬に直接使ったら体に悪いんじゃないの?」そう思って駆除薬を使わない飼い主さんもおられますが、寄生虫にたかられ犬や人が要らぬストレスを抱えたり、皮膚病に罹ったり病原微生物に感染してしまうことを考えると、駆虫薬の使用を控えておくのは勿体ないです。その心配を払拭してくれるのが、上に書いた3つを満たす薬です。
上記3つを満たすノミマダニ薬で日本にいて入手可能なものをほぼ全てこちらのサイトに載せて解説しているのですが、飲み薬ついてはサラッとしか触れていないので新たにサイトを立ち上げることにし、飲ませる・食べさせるタイプのノミマダニ駆除薬について解説することにしました。
ノミマダニ薬といえばスポットタイプの外用薬のイメージが強いのは、飲み薬が少なかったことも関係していますよね。2014年5月当時、ノミとマダニの飲み薬はコンフォティスとパノラミスしかありませんでした。その後、飲ませるタイプのノミダニ駆虫薬が次々と売り出されたので、2020年11月の時点でノミマダニ薬は8種類に増えています。
しかし、猫用の飲むノミマダニ薬はコンフォティスのみとなっていて、いまだ飲むノミマダニ薬のほとんどが犬用であるという現状です。
ノミとマダニを駆除・予防する薬の品名を挙げると、「クレデリオ」、「コンフォティス」、「コンフォティスプラス」、「シンパリカ」、「シンパリカ・トリオ」、「ネクスガード」、「ネクスガードスペクトラ」、「ブラベクト」です(詳細はこちらのページをご覧ください)。
「シンパリカ・トリオ」、「コンフォティスプラス」、「ネクスガードスペクトラ」、これら3つはノミダニ駆除だけでなく、体内に寄生する線虫類(回虫、鞭虫、鉤虫、フィラリア;犬糸状虫)の駆虫も一緒にできるマルチタイプの駆虫薬なのです。
なぜノミとマダニを予防する必要があるの?
そもそも、なぜノミやマダニを駆除・予防する必要があるのでしょう?
犬や猫のノミやマダニを予防することはフィラリアを予防することと同じくらいとても大切なんです。とても小さな生き物ですが馬鹿に出来ません。たかがノミダニ、されどノミダニなんです。ノミやマダニは動物の血を吸います。寄生する数が多いほど吸われる血液量が増えるので、貧血になってしまうことさえありますからね。
しかし、吸血される以外にもっと重大な被害がノミやマダニによってもたらされることもあるのです。
ノミによる被害
ノミに寄生されると痒みに襲われます。ノミの吸血が繰り返されると、吸血された動物はノミの唾液に対してアレルギー反応を示し、より激しい痒みが襲ってきます。
また、ノミは瓜実条虫という寄生虫を媒介します。
体内に条虫卵を保有しているノミを犬や猫が口にしたとき条虫卵も一緒に体内に入りますから、条虫卵が犬や猫の体内で孵化して小腸に寄生します。
さらには、ノミは猫の赤血球に寄生するマイコプラズマヘモフェリス(Mycoplasma haemofelis)も媒介するので、猫ヘモバルトネラ症(猫伝染性貧血)に感染し貧血をおこしてしまいます。
マダニによる被害
マダニもノミと同様に動物の血を吸います。「犬の顔にイボがついていると思ったら、実は血を吸って大きく膨れ上がったダニだった」と耳にしたことはありませんか?
マダニ1匹の吸血量は少ないように思えますが、吸血前の体の大きさと比べると吸血後は尋常でないほど大きくなるので、相当な量だと思います。
これで沢山のマダニに寄生されたとなると・・・。おそろしいですよね。
他には、マダニはバベシア症を引き起こすBabesia原虫、ライム病のボレリア;Borrelia、Q熱のコクシエラ菌;Coxiella burnetii、日本紅斑熱のリケッチア;Rickettsia japonicaなどの病原体を媒介します。
ノミやマダニによる被害は犬や猫に限ったことではありません。人もノミやマダニに吸血されますし、病原体を媒介されてしまいます。例えば、人が猫に引っかかれたり噛まれたりした時、10日後くらいに傷が赤く腫れ、腋窩リンパ節もしくは鼠径リンパ節が腫脹するなら、それは猫ひっかき病に感染したと言えます。
バルトネラ・ヘンセラ;Bartonella henselaeという菌を保有しているノミに吸血されることで猫が感染し、体内で増殖します。糞便の排泄と共に菌も外界に出ますが、その際に猫の歯や爪に菌が付着します。人が感染するのは、その歯や爪で人が怪我をさせられるからなんです。怖いですね。
また、ノミが一度家に入り込むと駆除するのがとても大変です。ノミを完全に家の中から排除するのには一年以上の月日を要します。ノミの成虫を駆除しても後進が残っていますからね。ノミの卵やサナギの存在を忘れてはいけません。これらのことを考えると、定期的なノミとマダニの予防に努めようと思えませんか?
皮膚が弱い犬のノミダニ対策には飲むノミマダニ予防薬が最適
現在多く出回っているノミマダニ駆除薬は、背中に薬をつけるスポットタイプのものです。主だったものとして、フロントラインプラス、フィプロフォートプラス、フォートレオン、マイフリーガードα、レボリューションなどがあります。動物病院で処方されていたりすることの多いメーカー品なので、ご存知の方が多いと思います。
このタイプのノミマダニ駆除薬はつけるのが簡単なのですが、つけた所が薬液でべとつく、犬や猫が背中に薬がつくのを嫌がったりする、飼い主さん自身が薬をつけるのを苦手とする、つけた薬が乾くまで触れられない、薬をつけた後数日間は水濡れさせないようにしなければならない、といったデメリットがあります。
また、たいていのノミダニ薬には説明書きには「内用液には直接手で触れないで下さい。使用後は石鹸でよく手を洗ってください。まれに、投与した箇所にかぶれなどが見られることがあります」といった注意書きがあります。皮膚が弱いのは犬だけではありません。人でも薬液を垂らすタイプのノミダニ薬で肌荒れや炎症をおこすので、スポットタイプの薬の使用に不安を感じてしまうこともあります。
このような場合に便利なのが服用タイプのノミマダニ薬です。飲むタイプのノミダニ薬なら、スポットタイプのノミダニ薬を使う上で感じるデメリットがありませんからね。もちろん効き目(ノミやマダニの駆除と予防)もスポットタイプの薬と同じで約1か月(ブラベクトは3か月)持続するので、飲むノミダニ薬は皮膚がデリケートな犬だけでなく、人にも最適な薬といえるでしょう。
飲むノミダニ薬のメリット
経口タイプのノミダニ薬のメリットを列挙します。
当サイトで紹介している8種類の薬、「クレデリオ」、「コンフォティス」、「コンフォティスプラス」、「シンパリカ」、「シンパリカ・トリオ」、「ネクスガード」、「ネクスガードスペクトラ」、「ブラベクト」は、いずれも薬を口から摂取することでノミやマダニを駆除することができます。
飲むノミダニ薬は人や犬にとって投薬に負担の少ない簡単で便利な薬ですが、どの薬も投与できる犬の年齢や体重に下限が設けられています。生後2か月以上経っていて、ある一定以上の体重がある犬ででないと投与することができないので、「これがいい!」と選択する飲むノミダニ薬があなたの愛犬にマッチしているかどうかご注意ください。