パラゾールの成分は犬や猫の腸管内寄生虫だけでなく人のガンにも効果的?!
犬や猫の駆虫薬というとまず最初にフィラリア薬やノミダニ薬が思い浮かんできそうですが、これらの薬で条虫を駆除できる薬はごくごく僅かです。名前を挙げるとインターセプターかセンチネルスペクトラム、ブロードラインですね。
外へ遊びに出かける猫だと条虫に感染する可能性が高いので、条虫駆除ができる薬を欠かせませんが、上記3つのうち猫に使えるのは外用薬のブロードラインだけです。
犬は犬で回虫をどこかで貰ってきたりするのでやはり寄生虫駆除と予防が欠かせません。
犬と猫の両方で使える駆虫薬で、しかも飲ませやすい駆虫薬といえば液剤のパラゾールでしょう。犬と猫に寄生する多種類の虫を広範囲にカバーできるほか、回虫卵も駆除が可能です。
品名 : パラゾール (Parazole)犬猫用経口液
メーカー : バリンズケリグス ヴェタリナリナリー プロダクト
内容量 : 100ml
成分 : フェンベンダゾール (Fenbendazole) 100mg
対象動物 : 犬、猫
効果 : 回虫、条虫、鉤虫、肺虫、回虫卵の駆除
パラゾールはフェンベンダゾールを成分とするベンズイミダゾール系の駆虫薬です。
犬と猫の消化管内に寄生する回虫、回虫卵、鉤虫、肺虫、条虫を駆除するとの記載がありますが、パラゾールと成分を同じとするパナクールオーラルペーストは線虫類、条虫類、原虫の駆除と治療に使われていますから、パラゾールも記載に無い線虫、条虫、原虫の駆除が可能といえます。
条虫に効果的といえどフェンベンダゾールは瓜実条虫にはあまり効果的でないのが残念なところです。条虫といえば他にはエキノコックスが思い浮かびますが、エキノコックスはテニア科エキノコックス属(Echinococcus)の条虫で、瓜実条虫はニ孔条虫科二孔条虫属(Dipylidium)の条虫です。
フェンベンダゾールはテニア属の条虫に効くということなんですね。同じ条虫でも成分の効きに差があることを知っておくと、駆虫薬を犬や猫に投薬したのに「あれっ?効いてない」と薬の効果に疑問を抱くこともなくなるのではないでしょうか。
一部の条虫に対する効きに差異があるといっても、フェンベンダゾールの駆虫スペクトルが広い、つまり駆虫できる寄生虫の数が多く安全性が高い薬剤なので犬や猫以外の動物の駆虫薬としても使われています。
フェンベンダゾールは消化管からはほとんど吸収されませんから、口から摂取した場合の半数致死量(LD50)が高い(実験動物の場合で10g/kg)のです。高いということは、高容量を摂っても大丈夫ということなんですね。
パラゾールと成分が同じのパナクールオーラルペーストはエキゾチックアニマル(ウサギ、カメなど)の治療にも使われていますが、そもそもフェンベンダゾールは家畜(ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ウサギ)にも投与が可能な薬剤なので特別なことではありません。日本だけでなく世界各国で駆虫薬として使われています。
ところで、動物の寄生虫駆除薬として使われているフェンベンダゾールですが、「癌の特効薬」だとか「犬の駆虫薬が癌に効く」とかで騒がれていましたね。
話を要約すると、小細胞肺がんに罹ったアメリカオクラホマ州エドモンドに住む男性がフェンベンダゾール(が成分の薬)をネットで買って服用を始め、その3カ月後に病院で検査を受けたらがんがきれいに消滅していた、とのことです。
引用文を下に載せているので関心のある方はどうぞ。フェンベンダゾールが実験動物のマウスの癌細胞を攻撃した可能性がある、ということが発見されたという内容です。
パラゾールは犬と猫の回虫、回虫卵、鉤虫、肺虫、条虫の駆除に使う薬です。薬剤を犬や猫の口の中に直接入れて飲ませるか、ご飯か何か食餌に混ぜて与えてください。
使用前に必ず獣医師と相談する、ということが前提ですよ。
使い方
成 猫 |
小型犬 |
中型犬 |
大型犬 |
||||
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体 重 | 投与量 | 体 重 | 投与量 | 体 重 | 投与量 | 体 重 | 投与量 |
2kg | 2mL | 3kg | 3mL | 15kg | 15mL | 35kg | 35mL |
4kg | 4mL | 5kg | 5mL | 25kg | 25mL | 40kg | 40mL |
6kg | 6mL | ― | ― | ― | ― | ― | ― |
注意点
フェンベンダゾールってガンに効くの?!
ホント? なんて声が聞こえてきそうだ。
全身にがんが転移し、「余命3カ月」と宣告された米国の男性が、犬の駆虫薬を飲むことで完全回復したというニュースが世界中の注目を集めている。
英紙「サン」(4月27日付電子版)などによると、この男性はオクラホマ州エドモンドに住むジョー・ティッペンズさん(写真)。
2016年に小細胞肺がん(SCLC)と診断されて治療を始めたが、17年1月には、がんは胃、首、脾臓、骨など全身に転移し、手の施しようのない状態になった。
医者からは「ここまで転移しては回復の見込みは約1%です。余命は3カ月ほど」と宣告された。
ジョーさんは「余命を1年まで伸ばせるかもしれない」という実験療法に参加すると同時に、何か奇跡を起こす別の方法はないものか、とあれこれ調べていた。
ある日、母校オクラホマ州立大学のフォーラムをチェックしていたら、「あなたが、もしくは知り合いががんにかかっているなら、連絡してみて」という投稿が目に入った。
連絡を取ってみると、驚いたことに投稿者は獣医だった。獣医はジョーさんに、次のように説明した。
「偶然、犬の駆虫薬として使われるフェンベンダゾールが、マウスのがん細胞を攻撃した可能性があることが発見されたんです。それでステージ4の脳腫瘍の患者にフェンベンダゾールを処方したところ、6週間も経たないうちに腫瘍が消えてしまったのです」
この話を聞いたジョーさんは実験療法を続けるとともに、フェンベンダゾールをネットで購入、服用し始めた。価格は1週間分でたったの5ドル(約560円)。
そして3カ月後、実験療法を受けている病院で、PET(放射断層撮影法)スキャンを受けたところ、がんがきれいに消滅していたというのだ。
「3カ月前……がんは頭からつま先まで、体中に転移していました。恐ろしい転移で、3カ月以内に100%死ぬという状態でした。ところが3カ月後、PETスキャンには何も映っていなかった。どこにもがんはありませんでした」
ジョーさんは実験治療、フェンベンダゾールの他にビタミンBのサプリ、大麻から抽出されるカンナビジオール(CBD)、香辛料のウコンの有効成分であるクルクミンなどを摂取していた。
しかし実験療法を受けた約1100人のうち、がんが完治したのはジョーさんのみ。フェンベンダゾールが劇的に効いたとしか考えられなかった。
ジョーさんはその経緯を、公式ウェブサイト「Get Busy Living(必死で生きる)」で発表した。
「がん患者に誤った希望を与える」との批判も受けたが、ジョーさんは次のように語った。
「医学的治療に関するアドバイスをする資格はありません。でもできるだけ多くの人々に体験談を語る資格はあるはずです」
一方、フェンベンダゾールによってがんが治ったというケースが、ジョーさん以外に40件以上あることも判明。
ジョーさんの話を知ったオクラホマ医療研究基金がフェンベンダゾールのがん治療の性質に関する研究を始めているという。
引用元:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190504-00000011-nkgendai-life
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