肥満細胞腫 診断

犬の肥満細胞腫はどうやって診断するの?

 

 

犬の肥満細胞腫の簡単な検査方法とは?

 

肥満細胞腫 診断方法

唐突ですが、“生検”って言葉の意味がわかりますか?

 

生検とは、病気の診断を行うために調べたい組織や細胞を体から外科的に採取することです。犬の肥満細胞腫を診断する方法に針生検があります。

 

 

針生検はニードルバイオプシーともいい、針で病変部を刺して吸引することで細胞を採取し、採ったその細胞をスライドガラスに乗せて乾燥させた後に染色し、それを顕微鏡で観察します。

 

 

もしかすると、「注射するわけでもないのに針を刺すなんて犬がかわいそう・・・」なんて思う飼い主さんがいらっしゃるかもしれませんね。でも、大丈夫です。針生検は疑わしい“しこり”に針をピッと刺すだけですから、細胞の採取がいつの間にか終わっていると感じるほど早いのです。しかも診断するのに時間がかからないので、針生検は肥満細胞腫の手軽な検査方法と言えるのです。

 

 

 

針生検と細胞診断

 

犬 肥満細胞腫 細胞診断

 

針生検は23G程度の細めの注射針を皮膚にできたしこり・コブ・腫瘤に刺し、その中の細胞を採取します。採取した細胞を顕微鏡下で観察するためには先ずは染色する必要があるので、細胞をスライドガラスに乗せて乾燥させます。その後に染色して再度乾燥させると、肥満細胞腫の場合は右の画像のような細胞を観察することができます。

 

 

いびつな円形をした細胞の中に、薄い紫色をした顆粒が見えるのがわかりますでしょうか。この顆粒は染色性が強く、ギムザ染色すると紫色に、トルイジンブルーで染色すると染色液とは異なる色調に染まる異染色性の性質を持っています。

 

 

肥満細胞腫の診断が容易となるのはこの顆粒が多量に見られる場合で、逆に顆粒が小さくて少量のときは診断が難しいこともあります。

 

 

 

肥満細胞腫の早期発見が根治のカギとなる?!

 

肥満細胞腫は基本的に悪性度が高い腫瘍です。

 

肥満細胞腫の“見た目”は様々で、濃い赤みを帯びた少し大きめのオデキのようであったり、蚊に吸血された後のようなポツっとした控えめな感じの痕のようなものであったりと、悪そうなデキモノには見えない場合がよくあります。

 

 

逆に、ボコボコとした腫瘤が皮膚の内側から外側へ顔を出しつつあるような、その腫れた箇所の色味も見た目で不健康そうな暗色を示していたりする場合もあります。見た目が悪いと危機感を覚えやすいのですが、そうでもなければ特に不安を感じることもありません。

 

 

見た目(大きさ、色、等)がどうであろうと、犬の肥満細胞腫は早いうちに獣医師に見せ診断してもらうことで根治する可能性が高まります。「これって何だろう。虫刺されだろうけどなかなか治らないな。でも、動物病院に行くほどでもないからちょっと様子をみてみよう。」などと勝手に判断し、獣医師の診断を先延ばししていると手遅れになってしまうことがあります。

 

 

肥満細胞腫は外観上その疾患特有のこれといった特徴が見られないというのが特徴であると書きましたが、その不思議な細胞形態が特徴であると考えると、犬の皮膚に何かしこりや腫れを見つけた場合は肥満細胞腫を疑い、直ちに獣医師に見てもらうことが賢明と言えますよね。

 

 

 

犬のお腹にポツンとできた腫れ 犬 吹き出物 真っ赤 肥満細胞腫 特徴

画像引用元 : (左)(中)とりい動物クリニック、(右)ファミリー動物病院 診療日誌

 

 

 

皮膚にできた犬の肥満細胞腫は、腫瘍の切除をいかに広範囲に行えるかどうかが根治のカギとなっています。

 

ということは、やはり先ずは皮膚の異常を早期に発見できるかどうかが重要となりますね。日頃から愛犬の体によく触れて、どんなに小さな異常でも見逃さないようにする気持ちでいるといいでしょう。

 

 

皮膚腫瘍の大半は針生検で細胞を採って細胞診断をすることで“良性”か“悪性”か診断することができるのですが、その腫瘍が何の腫瘍であるのかその場で診断することは、病理学に長けている・経験値の高い獣医師でなければ難しい場合もあります。しかしながら、肥満細胞腫は細胞の形態が特徴的なので、針生検での診断が可能な腫瘍でもあるのです。

 

 

グレードとステージで知る犬の肥満細胞腫の悪性度と進行度

 

 

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