犬 皮膚 しこり

犬の肥満細胞腫による症状は、肥満細胞から放出される生理活性物質が影響を及ぼしている

 

 

犬の肥満細胞腫で見られる皮膚病変

 

犬 肥満細胞腫 皮膚病変

犬の肥満細胞腫で認められるわかりやすい症状というと皮膚病変です。見た目では他の腫瘍や何かと区別がつきにくいくらい形態が様々で、虫刺されの痕のようにポツンと赤く腫れていたり、直径が数ミリ〜数センチ程度のシコリであったり、ある程度の硬さがある、もしくは柔らかかったりします。また、病変部が脱毛していたり、出血や潰瘍を伴っている場合もあります。

 

 

さらには、腫瘍が体のあちこちに発生する多発性のものであったり、一つだけの孤立性のものであったり、結節状であったり、ドーム型のようであったりと、本当にいろいろです。こうなるともう犬の体表に何かしこりやイボのようなものを確認したら全てを肥満細胞腫と疑った方がいいようにも思えてきますね。

 

 

犬 皮膚 しこり 犬 背中 しこり 犬 足先 できもの

 

画像引用元 : (左)さとう動物病院 長野県 千曲市、(中)つるみね通り動物病院、(右)こまちゃん頑張ってます!すだち編

 

 

犬の肥満細胞腫で良性のものは、病変部表面の脱毛はあるものの増殖は緩やかで潰瘍化することはまれですが、その後何の変化を見せることなく突然悪性化することもあるので注意しておく必要があります。また、悪性のものは細胞の増殖が急速なためリンパや血液によって転移したり、腫瘍周辺に炎症が生じ、潰瘍化してしまうことがおうおうにしてあります。

 

皮膚の病変部を不思議に思い、よく見てみようとついつい触れてしまいがちですが、過度に触れるとそれが刺激となって肥満細胞の中にあるヒスタミンなどの各種生理活性物質を放出させてしまうことになり、それが元で腫瘍をさらに赤く腫れさせたり、蕁麻疹のようになってしまったりします。

 

 

犬の肥満細胞腫で見られる臨床症状はヒスタミンによって引き起こされる

 

犬の肥満細胞腫の大半は皮膚にできますが、各種臓器にも腫瘍が発生します。体内で肥満細胞が腫瘍化することで、食欲不振や嘔吐、下痢、呼吸困難、出血が止まりにくくなる血液凝固障害など多様な症状が見られます。なぜこんなにもバラエティに富んだ症状が見られると思いますか? これは肥満細胞が出すヒスタミンなどのケミカルメディエーターと言われる生理活性物質が大いに関係しているのです。

 

 

アレルギー反応 画像

肥満細胞は T型アレルギーの主体となっています。肥満細胞に結合している IgE抗体にアレルゲンがくっつくことでそれが引き金となり、肥満細胞の中にあるヒスタミンが放出(脱顆粒)されることによってアレルギー反応が起こるのです。

 

 

T型アレルギーである気管支喘息やアレルギー性鼻炎、蕁麻疹、花粉症、アトピー性皮膚炎による症状を想像されるとわかりやすいのではないでしょうか。

 

 

肥満細胞腫に罹った犬で見られる症状はヒスタミンの持つ薬理作用(血管拡張作用、血管透過性亢進作用、血圧降下作用、腺分泌促進作用、平滑筋収縮作用)によるものですが、肥満細胞が腫瘍化しているためヒスタミンが無秩序に容易に放出されているので、それがまた症状を重くしてしまうのです。

 

 

あなたはご自分の顔に吹き出物が出来た時は、気になって触ってしまう方ですか? そんな時は気になっても触れないほうが良いといいますよね。いじると悪化したり痕になって残ってしまうので・・・。同様に、愛犬の体表にできたしこりも気になったからといってゴリゴリグリグリといじってはいけません。触ったりすることによる刺激で腫瘍内からヒスタミン等が放出され、腫瘍周辺が赤くなったり浮腫を起こしたりします。ちなみにですが、この蕁麻疹様の外見ダリエ徴候といいます。

 

 

これ以外にも、傷からの出血が止まりにくい、傷の治りが遅い、といった変化を見ることにもなってしまいますし、さらには、腫瘍化した肥満細胞を他へ転移させることにもなりかねませんから、ちょっとした皮膚病変であったとしても安易に触れてはいけません。これらのようにヒスタミンによって引き起こされる皮膚病変以外の症状を、ヒスタミン誘発性腫瘍随伴症候群と言います。

 

 

犬の肥満細胞腫で見られる症状

消化器

胃酸の分泌促進 ⇒ 胃潰瘍、 胃穿孔
嘔吐、 食欲減退、 腹痛、 下痢
消化管潰瘍 ⇒ 血便、 貧血

循環器

血圧降下
不整脈
血液凝固障害


呼吸器

平滑筋収縮 ⇒ 呼吸困難

 

 

皮膚

局所的な炎症 ⇒ 発赤、 痒み、 痛み、 出血
血管透過性亢進 ⇒ 浮腫
コラーゲンの生成が低下 ⇒ 傷口の治癒が遅延

 

犬が肥満細胞腫になってしまう原因は?