肥満細胞腫 悪性度

グレードとステージで知る肥満細胞腫の悪性度と進行度

 

 

犬の肥満細胞腫瘍の診断は針生検で行います。腫瘍に注射針を刺して腫瘍細胞を針で吸引し、それを検査(細胞診)することで肥満細胞腫であるかどうかわかるのですが、腫瘍が悪性のものであるのか(悪性度;グレード)、肥満細胞腫の進行度(病期;ステージ)がどの程度であるのかどうかまではわからない場合があります。

 

 

肥満細胞腫の悪性度や進行度を知ることで、どのように治療を進めていくのか治療計画を立てたり、予後はどうなのかといった予測ができるので、外科的に切り取った腫瘍組織を検査(組織生検)して腫瘍のグレードとステージを決めます。

 

 

組織学的グレード

 

肥満細胞腫は悪性度によってT〜Vの3つのグレードに分類されますが、悪性度が高く最も深刻なのが数値の高いグレードVです。予後を判定する要素として最も重要となるのが組織学的グレードと、腫瘍を摘出する手術の完成度になります。肥満細胞腫をグレード分けすると3つですが、グレードが高くなるにつれ、腫瘍の再発や転移が多くなり、完治するのが難しくなってきます。

 

グレードI : 高分化型

細胞は分化した形態をもち、腫瘍が限られた特定の部位に存在し、腫瘍の周囲との境界や範囲が明瞭である。

 

グレードII : 中間型(中程度分化型)

細胞は中程度の分化を示し、腫瘍の周囲との境界や範囲が不明瞭である。

 

グレードIII : 未分化型(低分化型)

細胞は未分化で特定の部位に限らず広範囲に散在し、腫瘍の周囲との境界や範囲が判別不能である。

 

 

“分化”という言葉が使われていますが、分化について少し解説致しますね。細胞が分裂し成熟(発達もしくは成長)していくことを分化といいます。細胞分裂によって細胞が増えて成熟し、何かしらの器官の細胞になることを“分化した(高分化)”といいますが、細胞が成熟しないで未熟なままの状態である場合を未分化といいます。未熟(未分化)な細胞が成熟(高分化)した細胞になるには、未分化 → 低分化 → 中分化 → 高分化といった過程を経ます。

 

 

上の表を見ると、未分化型が悪性度が高いということがわかりますよね。未分化型は未熟な細胞がガン化したもので、細胞の性質を確認しづらい状態であり、しかも細胞の増殖や他への転移がはやいため悪性度が高く予後が悪いといわれています。その反面、高分化型は成熟(成長)してはっきりと形を成した細胞がガン化したものです。高分化型の場合は細胞の形が正常に近く、悪性度は低く予後も良いとされています。

 

 

臨床ステージ

 

悪性度の他に、腫瘍がどの程度まで進んでいるのかを示す病期(ステージ)があります。ステージは 0〜W までの5ステージあり、@腫瘍の大きさや広がり、Aリンパ節へ転移しているかどうか、B他の臓器へ転移しているかどうかの組み合わせで分類されます。

 

 

また、それぞれのステージにおいて全身性の症状(嘔吐、食欲不振、胃や消化管の潰瘍、消化管内で出血していた場合に見られる黒色便など)を伴うかどうかで a (全身性の症状がない)もしくは b (全身性の症状を伴う)と表記されます。 例えば、腫瘍が浸潤していてリンパ節の転移も見られる上に全身性の臨床症状が見られる場合は「ステージVb 」と診断されます。

 

ステージ 0

・ 単一の腫瘍
・ リンパ節への転移はしていない
・ 手術で腫瘍を切除したものの、病理組織検査で腫瘍の残存が認められた
(※肥満細胞腫は完全に切除するのが難しい腫瘍であるため。執刀者の手技が原因ではない)

 

ステージ 1

・ 単一の腫瘍
・ リンパ節への転移はしていない
・ 腫瘍は少し広がっているが真皮に限局しているので筋肉層までで留まっているため周辺に浸潤していない

 

ステージ 2

・ 単一の腫瘍
・ リンパ節に少し転移していることもある
・ 腫瘍が筋肉層を超えて少し浸潤している

 

ステージ 3

・ 多発性の腫瘍で皮膚の各所で見られる
・ リンパ節に転移している
・ 腫瘍の浸潤性が強く周辺組織にまで及んでいる

 

ステージ 4

・ 腫瘍の遠隔転移
・ 転移を伴う再発腫瘍
・ 血液中や骨髄中に腫瘍細胞が出現する

 

 

犬の肥満細胞腫治療は手術と放射線と抗がん剤の組み合わせ