犬と猫の分離不安症って何? どんな病気?
飼い主に対する愛着が過剰なまでに強く、飼い主に依存する傾向にある犬が、飼い主の留守中に強い不安・ストレスを感じて吠え続けたり、トイレ以外の場所で粗相をしたり、家具や飼い主の持ち物を破壊するなどの行動を取ったりする症候群のことを分離不安症といいます。
家を留守にして帰宅したらソファをかじられてボロボロになっていた、いつもとは違う場所で排泄をしていたとなると、大抵の飼い主さんは犬が自分を置いてけぼりにされた腹いせに悪さをしたと思うかもしれません。
これは犬が飼い主さんを困らせようと考えてした嫌がらせではなく病気なのです。犬の分離不安症は性格によるものが多く、犬種や性別、年齢はあまり関係ありません。
犬の全体数の7%〜15%が分離不安症にあると専門家によって推定されています。犬が10頭いたらその内の1頭が分離不安症であるということになりますね。それほど犬の分離不安症は身近な問題でもあるのです。
分離不安症は、犬が自分が独り取り残された感から、不安でどうしようもなくなる・苦しくなってくるという病気なので、犬が独りで過ごす時間の少ない、飼い主さんと密着した生活を毎日送っているような甘えん坊の犬は罹りやすいといえますが、飼い主さんの努力次第で治せるのです。
分離不安症の犬を治療するためには、犬への過度な愛情を断ち、飼い主さんとの適切な関係を作るための行動療法と、それをより早く効果的に治療するために薬物療法を併用することが薦められています。
分離不安の犬や猫はどんな行動を示すの?
分離不安症の犬は飼い主さんと一緒にいる時は穏やかでいい子なのですが、飼い主さんの外出でいざ独りになると問題行動を起こします。
外出する時は出かける準備をしますよね?
実は犬はその段階から落ち着かなくなってきて、飼い主さんのそばをうろついたり付きまとうなど分離不安の前兆が見えてきます。
また、物を壊したりかじったりするなどの破壊行動は飼い主さんが外出した数分後から始まり、さらには、ずっと吠え続けたり、教えていない場所で排泄をしたり、グルーミングで舐める以上に過度に体を舐めたり、不安感やストレスから下痢・嘔吐などを呈する心身症の症状を認めることができます。
分離不安症の症状
飼い主の関心を引こうとする
飼い主の外出の気配を察知すると、まとわりつく、ソワソワする、後を付いてまわるなど変化が見られる
攻撃性
飼い主が外出しようとすると、服や足に噛みついたりうなったりする
破壊行動
ドアやカーペットなど物をかじったり、壊したりする
無駄吠え
ひたすら吠える、ずっと吠え続ける
心身症
精神の持続的な緊張やストレスによるよだれや嘔吐、下痢、食欲不振など身体的な疾患
自虐行為
肢を舐めすぎて肢端舐性皮膚炎・肉芽腫になる
決まった場所以外での排泄
トイレ以外の不適切な場所で排便、排尿をする
多動
階段の行き来を繰り返す、ウロウロと歩き回る
犬や猫が分離不安症になるその原因は?
犬が分離不安症になる原因は何だと思いますか?
離乳が早かったとか、その犬だけの単独飼育は分離不安の原因ではなく、犬に対する飼い主さんの過剰な愛情や接触が犬の分離不安症と関係しているのです。
飼い主さんが間違った犬との付き合い(異常な愛情表現の過多)や犬の飼育をしてしまうことで犬との絆が強くなってしまいます。その結果、犬が少しでも飼い主さんと離れてしまうと、神経伝達物質セロトニンの脳内作用が減弱して不安や恐怖が増してくるのです。
また、飼い主さんと毎日一緒に居るため独りで放置される事に慣れていない、突然の飼い主さんの態度の変化やライフスタイル・生活パターン・環境の変化(就職、進学、引っ越し、離婚、死別、新しい家族が増えるなど)に対応できないことも、犬が分離不安症になる原因となり得ます。
あなたの愛犬はどうですか?
下に書いたことが幾つも当てはまるなら、分離不安症である可能性が高いかもしれません。
あなたの犬は分離不安症?!check